一工夫ひとくふう)” の例文
しかしこの二方法共実行出来んとなるとはなはだ心細い。今において一工夫ひとくふうしておかんとしまいにはむずむず、ねちねちの結果病気にかかるかも知れない。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
能役者にも古来しばしばさういつた冒険者があつて、謂はゆる「一工夫ひとくふう」を試みる者が少くなかつた。
演出 (新字旧仮名) / 野上豊一郎(著)
多寡たかの知れた僧侶そうりょ浪人者ろうにんものと見くびって、わざと、家中かちゅうさむらいをださず、呂宋兵衛や吹針ふきばりばばあをあの番組のなかにいれて翻弄ほんろうしてやろうと思ったのだが、そうと知ったら、もう一工夫ひとくふうするのであった
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此器械このきかいだいにして其上そのうへまた一工夫ひとくふういたした人がある
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
見てざるはいさみなしとか惡とはしれども一工夫ひとくふう仕まつて見申べしとやゝ暫く思慮しりよに及びけるが人々に向ひまづ天一殿の面部は當將軍家の幼稚をさなだち御相恰ごさうがふよくしのみか音聲おんじやう迄も其儘なれば十が九ツ此企このくはだて成就せんと云に皆々打よろこび茲に主從しうじうの約を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
余はまだ営業報告をけないうちに、早速一工夫ひとくふうしてこう云った。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)