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もみた
と込上げ
揉立て、
真赤になった、七
顛八
倒の
息継に、つぎ
冷しの茶を取って、がぶりと遣ると
例の物見高き町中なりければ、この
忙き
際をも忘れて、
寄来る
人数は
蟻の甘きを探りたるやうに、一面には遭難者の土に
踞へる
周辺を擁し、一面には婦人の左右に
傍ひて、目に物見んと
揉立てたり。
材木町の
陶器屋の
婦、
嬰兒を
懷に、
六歳になる
女兒の
手を
曳いて、
凄い
群集のなかを
逃れたが、
大川端へ
出て、うれしやと
吻と
呼吸をついて、
心づくと、
人ごみに
揉立てられたために