“びろうど”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ビロウド
語句割合
天鵞絨80.0%
天鵝絨16.4%
天墨絨0.7%
天蚕絨0.7%
天鳶絨0.7%
天鵞毛0.7%
天鵞毧0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この、滑かな彼女の態度から、記者達はルウスに「天鵞絨びろうどの女虎」という新しい綽名を与えて、これが又新聞紙上を賑わしたものだ。
アリゾナの女虎 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
そしてその黒天鵝絨びろうどのマントを、パッと真紅な裏を見せながら脱ぎ捨てると、小屋の天井の両端から、一本ずつ垂らされた綱に、手をかけた。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
天墨絨びろうどの服をエプロン間夫に持ち同
大正東京錦絵 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
車室の中は、青い天蚕絨びろうどを張った腰掛こしかけが、まるでがら明きで、向うのねずみいろのワニスを塗ったかべには、真鍮しんちゅうの大きなぼたんが二つ光っているのでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
肥った女はちょうど讓の前の方へ来てバケツを置き、庭前にわさきの方へ向いて犬かなんかを呼ぶように口笛を吹いた。庭の方には天鳶絨びろうどのような草が青あおと生えていた。
蟇の血 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ひんよくひかえているものだから、身体は静粛端正の態度を有するにも関らず、天鵞毛びろうどあざむくほどのなめらかな満身の毛は春の光りを反射して風なきにむらむらと微動するごとくに思われる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
踏む石は天鵞毧びろうどのごとくやわらかと見えて、足音をしょうにこれをりっすれば、動かぬと評しても差支さしつかえない。が輪廓は少しく浮き上がる。余は画工だけあって人体の骨格については、存外ぞんがい視覚が鋭敏である。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)