“はばた”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
羽搏73.8%
羽叩10.0%
羽摶8.8%
羽撃5.0%
羽敲1.3%
羽打1.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
忌々いまいましげに、顔をゆがめ、角三郎は小石を拾って、梢へ投げた。——ぱっと、すごい羽搏はばたきが、そこを離れ、枯野の上を、ゆるった。
御鷹 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小説家の友人は、この機会をはづさないで、作家と本屋とを結びつけようと考へたので、あらかじめその由を通じると、本屋は雀のやうに羽叩はばたきをして喜んだ。
暗中の人影が蔵人に向かって、ただ大鷲の羽摶はばたくように、さっと飛び掛かって行ったからであった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
唯、縹緲ひようびようたる理想の白鷺は羽風おもむろ羽撃はばたきて、久方の天に飛び、影は落ちて、骨蓬かうほねの白く清らにも漂ふ水の面に映りぬ。これを捉へむとしてえせず、この世のものならざればなりと。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
これよりこの土師はじの里に鶏鳴かず、羽敲はばたきもせぬ由、『菅原伝授鑑すがわらでんじゅかがみ』に出で、天神様が嫌うとて今に鶏を飼わぬらしい(高木氏『日本伝説集』二一九頁)。
我らが若き時はかようにはなしという時、飼い置きし鶏かたわらより時をつくる。老人いわく、あれ聞きたまえ人ばかりでなし、鶏さえ今時は羽敲はばたきばかりして鳴きはしませぬと。
そして鳴けない日陰の鳥となつて樹の中に羽打はばたいた。斯くして『記憶と沈默』の年は過ぎた。それから何にものも書かないその翌年(明治四十四年)も過ぎた。
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)