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とほ/″\
男は
女蕩らしの
浮氣もの、
近頃は
嫂の
年増振に
目を
着けて、
多日遠々しくなつて
居たが、
最う
一二年、
深く
馴染んで
居たのであつた。
御身は
過去遠々より女の身であつたが、この
男(入道)が
娑婆での最後で、
御前には
善智識だから、思ひだす度ごとに法華經の
題目をとなへまゐらせよ。と、二首の歌も書かれてある。
首尾は、しかし
惡くはなかつたか、
直ぐにいそ/\と
出て
來るのを、
垣根にじり/\と
待ちつけると、
顏を
視て、
默つて、
怨めしい
目をしたのは、
日頃の
遠々しさを