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つました
風入れの
此の
窓も、
正西を
受けて、
夕日のほとぼりは
激しくとも、
波にも
氷にも
成れとて
觸ると、
爪下の
廂屋根は、さすがに
夜露に
冷いのであつた。
ちよろ/\とだけの
流ながら、
堤防も
控へず
地續きに、
諏訪湖を
一つ
控へたれば、
爪下へ
大湖の
水、
鎬をせめて、
矢をはいで、じり/\と
迫るが
如く
思はるゝ。
姫の紫の
褄下に、
山懐の夏草は、
淵のごとく暗く沈み、
野茨乱れて白きのみ。