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だいたんもの
遣ひ
捨しとは何ごとぞや十兩からは
大金成ぞ夫を何ぞや
遣ひ
込知らぬ顏して主人の
眼を
拔く
大膽者めと
有合十露盤おつ取て久八を
散々に
打擲爲すを側に見て居る千太郎は我が
骨節を
種々と申上げたな
全體汝れは何と心得居るや汝等夫婦は
貧窮に
迫りて
困苦するを
愍然に思ひ是迄此段右衞門が
樣々と
見繼で
遣た其恩義を忘れし爰な恩知ずの
大膽者とは
汝れがことなり然るを
一夕、松川の
誕辰なりとて奥座敷に予を招き、
杯盤を排し
酒肴を
薦む、
献酬数回予は酒といふ
大胆者に、幾分の力を得て
積日の屈託
稍散じぬ。