“こそこそ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
狐鼠狐鼠50.0%
狐鼠々々28.6%
密々7.1%
孤鼠孤鼠7.1%
窃々7.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
従って三五屋という名前は大阪では一廉ひとかど大商人おおあきんどで通っていたが、長崎では詰まらぬ商人あきんど宿に燻ぶっている狐鼠狐鼠こそこそ仲買に過ぎなかった。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
私はもうあとは聴いていなかった。たれはばかる必要もないのに、そっと目立たぬように後方うしろ退さがって、狐鼠々々こそこそと奥へ引込ひっこんだ。ベタリと机の前へ坐った。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
二人きりになると、何れもほつと息を吐いて、今し方お吉の腰掛けた床の間に膝をすれ/\に腰掛けた。かくて十分許りの間、田舎言葉で密々こそこそ話し合つた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
お八重はいはずもがな、お定さへも此時は妙に淋しく名残惜しくなつて、密々こそこそと其事を語り合つてゐた。此日は二人共廂髪に結つてゐたが、お定の頭にはリボンが無かつた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
酔漢 (怖れを抱き、やむを得ず銭を老婆に与え忠太郎を振り返って、孤鼠孤鼠こそこそと逃げ去る)
瞼の母 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
なんの嘘をつけ熊坂なものか! 昼トンビの窃々こそこそだろう! おっと不可ねえ晩だっけ、晩トンビなんてあるものじゃァねえ。どっちみち好かねえ爺く玉さね。帰ってくんな。
天主閣の音 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)