密々こそこそ)” の例文
二人きりになると、何れもほつと息を吐いて、今し方お吉の腰掛けた床の間に膝をすれ/\に腰掛けた。かくて十分許りの間、田舎言葉で密々こそこそ話し合つた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
お八重はいはずもがな、お定さへも此時は妙に淋しく名残惜しくなつて、密々こそこそと其事を語り合つてゐた。此日は二人共廂髪に結つてゐたが、お定の頭にはリボンが無かつた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
それでも仲々階下したにさへ降り渋つて、二人限になれば何やら密々こそこそ話合つては、袂を口にあてて声立てずに笑つてゐたが、夕方近くなつてから、お八重の発起で街路そとへ出て見た。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)