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かはらやね
烈しい夏の日は空から滑り落ちて來るやうな恐しい
瓦屋根の見上げる廣い軒に遮られて參詣の人の絶えず
昇降する階段の、丁度
半ほどまでさし込み
勿論その
外に
石原通りや
法恩寺橋通りにも低い
瓦屋根の商店は
軒を並べてゐたのに違ひない。
おい
邪魔になると
惡いよと
北八を
促し、
道を
開いて、
見晴に
上る。
名にし
負ふ
今戸あたり、
船は
水の
上を
音もせず、
人の
家の
瓦屋根の
間を
行交ふ
樣手に
取るばかり。
水も
青く
天も
青し。