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いひざか
世の
中のうろたへものは、
佛法僧、
慈悲心鳥とも
言ふであらう。
松の
尾の
峰、
黒髮山は、われ
知らず、この
飯坂に
何の
鳥ぞ。
いや、
實は
私も
知らん。——
此は
後で、
飯坂の
温泉で、おなじ
浴槽に
居た
客同士が、こゝなる
橋について
話して
居たのを、
傍聞きしたのである。
「
飯坂の
前途の
山からの、どん/\と
出ますだで。——いゝ
磨砂だの、これ。」と、
逞しい
平手で、ドンと
叩くと、
俵から
其の
白い
粉が、ふツと
立つ。