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いはづら
かの
逆巻く波に分け入りし宮が、息絶えて浮び出でたりし
其処の景色に、似たりとも
酷だ似たる岸の
布置、
茂の
状況、
乃至は
漾ふる水の
文も、
透徹る底の
岩面も、広さの程も、位置も、
趣も
第一
番には
大野氏が
入る
筈だからと
考へながら、
猶今一
度窟の
底部を
照らして
見やうとして、
龕燈を
持直す
途端に、
余の
足は
入口のくづれたる
岩面を
踏んだので、ツル/\と
穴の
中へ
濘り
落ちた。