“絵(ゑ)” の例文
旧字:繪
へゝい、お二人(ふたり)づれで。——旦那様(だんなさま)は、洋服(やうふく)で、それ、絵(ゑ)を描(か)く方(かた)が、こゝへぶら下(さ)げておいでなさる、あの器械(きかい)を持(も)つて居(ゐ)らしつけえ。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
其代り筆(ふで)が些(ちつ)とも滞つてゐない。殆んど一気呵成(かせい)に仕上(しあげ)た趣がある。絵(ゑ)の具(ぐ)の下(した)に鉛筆の輪廓が明(あき)らかに透(す)いて見えるのでも、洒落な画(ぐわ)風がわかる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
破笠一に笠翁また卯観(ばうくわん)子、夢中庵(むちゆうあん)等の号あり。絵(ゑ)を一蝶に学(まな)び、俳諧は其角を師とす。余が蔵する画幅に延享三年丙寅仲春夢中庵笠翁八十有四筆(ふで)とあり。
あれは。近「絵草紙(ゑざうし)だよ。梅「へえゝ綺麗(きれい)なもんですな、撫(なで)て見ちやア解(わか)りませんが、此間(このあひだ)池田(いけだ)さんのお嬢(ぢやう)さまが、是(これ)は絵(ゑ)だと仰(おつ)しやいましたが解(わか)りませんでした。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
花世の美容については、「かたちたぐひなく美しう御座まして、後のために似(に)せ絵(ゑ)などとどめおかましう思ひける」とか「カカル美容(ミメ)ナシ」といったような記述が残っている。
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
予(よ)はいよ/\嬉(うれ)しくて堪(たま)らず、川面(かわづら)は水も見えぬまで、端艇(ボート)其他(そのた)の船(ふね)並(なら)びて其(そ)が漕開(こぎひら)き、漕(こ)ぎ廻(まは)る有様(ありさま)、屏風(びやうぶ)の絵(ゑ)に見たる屋島(やしま)壇(だん)の浦(うら)の合戦(かつせん)にも似(に)て勇ましゝ、大尉(たいゐ)が大拍手(だいはくしゆ)大喝采(だいかつさい)の間(あひだ)に
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
その頃(ころ)よんだリイダアなどの絵(ゑ)の女(むすめ)かとおもふけれど、それもたしかでない。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
この本ぢや どうだ こういふ絵(ゑ)を見たことがなかつたか
映(うつ)りゆく絵(ゑ)のなかのいそがしさ、さは繰りかへす。——
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
物の象(かたち)も筋めよく、ビザンチン絵(ゑ)の式(かた)の如(ごと)。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
二日(ふつか)前に山の絵(ゑ)見しが
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
恰(あたか)も何(なに)よ、それ畜生道(ちくしやうだう)の地獄(ぢごく)の絵(ゑ)を、月夜(つきよ)に映(うつ)したやうな怪(あやし)の姿(すがた)が板戸(いたど)一重(へ)、魑魅魍魎(ちみまうりやう)といふのであらうか、ざわ/\と木(こ)の葉(は)が戦(そよ)ぐ気色(けしき)だつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
破笠一に笠翁また卯観(ばうくわん)子、夢中庵(むちゆうあん)等の号あり。絵(ゑ)を一蝶に学(まな)び、俳諧は其角を師とす。余が蔵する画幅に延享三年丙寅仲春夢中庵笠翁八十有四筆(ふで)とあり。
昔の地獄(ぢごく)の火の車や無間地獄(むげんぢごく)などで、此方(こちら)に本当(ほんたう)の火の車が有(あ)りまして、半分(はんぶん)絵(ゑ)で描(か)いて有(あ)つて、その境界(さかひめ)がちつとも分(わか)りません、誠に感心だ、火の燃える処(ところ)が本当(ほんたう)のやうだ
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ところでテン太郎 お前の写生(しやせい)した絵(ゑ)を見せてごらん
日傘(ひがさ)がまわる絵(ゑ)がまわる。
桜さく島:春のかはたれ (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
甲胄堂(かつちうだう)の婦人像(ふじんざう)のあはれに絵(ゑ)の具(ぐ)のあせたるが、遥(はる)けき大空(おほぞら)の雲(くも)に映(うつ)りて、虹(にじ)より鮮明(あざやか)に、優(やさ)しく読(よ)むものゝ目(め)に映(うつ)りて、其(そ)の人(ひと)恰(あだか)も活(い)けるが如(ごと)し。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
えゝ一席(いつせき)申上(まうしあ)げます、明治(めいぢ)の地獄(ぢごく)も新作と申(まう)す程(ほど)の事でもなく、円朝(ゑんてう)が先達(せんだつ)て箱根(はこね)に逗留中(とうりうちう)、宗蓮寺(そうれんじ)で地獄極楽(ぢごく/\らく)の絵(ゑ)を見まして、それから案(あん)じ附(つ)きましたお短(みじ)かい落語(おとしばなし)でございますが
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
これが 火星の運河(うんが)を想像(さうざう)して描(か)いた絵(ゑ)の幻燈だ
とづいと立(た)つと、逆屏風(さかさびやうぶ)——たしか葛(くづ)の葉(は)の風(かぜ)に乱(みだ)れた絵(ゑ)の、——端(はし)を引(ひ)いて、壇(だん)の位牌(ゐはい)の背後(うしろ)を、次(つぎ)の室(ま)の襖(ふすま)との狭(せま)い間(あひだ)を、枕(まくら)の方(はう)へ導(みちび)きながら
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
画工(ゑかき)さんは立処(たちどころ)にコバルトの絵(ゑ)の具(ぐ)を溶(と)いたし、博士(はかせ)は紫(むらさき)の蝶(てふ)を追(お)つて、小屋(こや)うらの間道(かんだう)を裏(うら)の林(はやし)に入(はい)つたので。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
と莞爾(につこり)して、草鞋(わらぢ)の尖(さき)で向直(むきなほ)つた。早(は)や煙(けむり)の余波(なごり)も消(き)えて、浮脂(きら)に紅蓮(ぐれん)の絵(ゑ)も描(か)かぬ、水(みづ)の其方(そなた)を眺(なが)めながら
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
全体(ぜんたい)、箱根(はこね)でも、塩原(しほばら)でも、或(あるひ)は木曾(きそ)の桟橋(かけはし)でも、実際(じつさい)にしろ、絵(ゑ)にせよ、瑠璃(るり)を灌(そゝ)ぎ、水銀(すゐぎん)を流(なが)す渓流(けいりう)を、駕籠(かご)、車(くるま)で見(み)て行(ゆ)くのは、樵路(せうろ)、桟道(さんだう)、高(たか)い処(ところ)で
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
況(ま)して此(こ)の水上(みなかみ)は、昨日(きのふ)孤家(ひとつや)の婦人(をんな)と水(みづ)を浴(あ)びた処(ところ)と思(おも)ふと、気(き)の精(せい)か其(そ)の女瀧(めだき)の中(なか)に絵(ゑ)のやうな彼(か)の婦人(をんな)の姿(すがた)が歴々(あり/\)、と浮(う)いて出(で)ると巻込(まきこ)まれて、沈(しづ)んだと思(おも)ふと又(また)浮(う)いて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
怪㤉(をかし)な事(こと)には、眉(まゆ)が何(ど)う、目(め)が何(ど)う、と云(い)ふ覚(おぼえ)はねえだが、何(なん)とも言(い)はれねえ、其(そ)の女(をんな)の容色(きりやう)だで……色(いろ)も恋(こひ)も無(な)けれども、絵(ゑ)を見(み)るやうで、何(なん)とも其(そ)の、美(うつく)しさが忘(わす)れられぬ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)