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立
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たっ
ふりがな文庫
“
立
(
たっ
)” の例文
何も
彼
(
か
)
も話さねば判らぬが、僕が今の妻と知合になって、正式に結婚を
申込
(
もうしこん
)
だ時、仲に
立
(
たっ
)
て世話してくれたのは、この今井であった。
友人一家の死
(新字新仮名)
/
松崎天民
(著)
ナゼそんな処に
立
(
たっ
)
ているのです、ズット奥へお通りなさい。今も婆やを
貴嬢
(
あなた
)
の処へ上げてお昼の
副食物
(
おかず
)
を伺おうと思っていた処です。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
夫
(
そ
)
れがその
交際
(
つきあい
)
、
朋友
(
ほういう
)
互に交って遊ぶ
小供遊
(
こどもあそび
)
の
間
(
あいだ
)
にも、ちゃんと門閥と云うものを
持
(
もっ
)
て
横風
(
おうふう
)
至極
(
しごく
)
だから、小供心に腹が
立
(
たっ
)
て堪らぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
瓢然
(
ひょうぜん
)
たる一種の道楽息子と成果てつ、家に
在
(
あっ
)
ては父母を養うの資力なく、世に
立
(
たっ
)
ては父母を
顕
(
あら
)
わすの名声なし、思えば我は実に不幸の子なりき。
父の墓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「よろしゅう御座います、それでは一つ
戴
(
いただ
)
きましょう。」と自分の答うるや
直
(
す
)
ぐ彼は先に
立
(
たっ
)
て元の
場処
(
ばしょ
)
へと引返えすので、自分も其
後
(
あと
)
に従った。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
寒いって
胼胝
(
あかぎれ
)
だらけな足を上げて、
立
(
たっ
)
て居て
踵
(
かゝと
)
をあぶるので、旦那はすっかり怒って仕舞って
早々
(
そう/\
)
お
暇
(
いとま
)
になりました、実に女だけは江戸に限ります
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
博士と看護婦とが
立
(
たっ
)
ています。二人の四本の手は真赤です。寝台には学生が寝ていました。勿論殺されているのでした。ああ手術は済んだのでした。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかしながらこれは信仰的立場に
立
(
たっ
)
て
初
(
はじめ
)
て充分に了解せらるる書である。我らはこの書を研究する時、まず著者に対して深き同情と尊敬とを抱かねばならぬ。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
眤
(
じっ
)
と
立
(
たっ
)
ていると手足がしびれて来てだんだん気が遠くなった。遂に何処に
何
(
どう
)
しているのやら分らなくなった。——
種々
(
いろん
)
なものが見えた。種々な音が聞え始めた。
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いぎたなく眠れる善作を揺り起して、炊事を命じ、自分一人寒気に
慄
(
ふる
)
えながら小舎の前の石峰に
立
(
たっ
)
た。
奥常念岳の絶巓に立つ記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
その前には十二三の少女が男の方を向いて
立
(
たっ
)
ている。少し離れて
室
(
へや
)
の入口には
盲目
(
めくら
)
が
床几
(
しょうぎ
)
に腰をかけている。調子の高い
胡弓
(
こきゅう
)
と歌の声はこの一団から出るのである。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
新聞懐中して止むるをきかず
突
(
つ
)
と
立
(
たっ
)
て畳ざわりあらく、
馴
(
なれ
)
し
破屋
(
あばらや
)
に
駈戻
(
かけもど
)
りぬるが、優然として
長閑
(
のどか
)
に
立
(
たて
)
る
風流仏
(
ふうりゅうぶつ
)
見るより
怒
(
いかり
)
も収り、何はさておき色合程よく仮に
塗上
(
ぬりあげ
)
て
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
所が後から段々と確な証拠が
立
(
たっ
)
て来るから遂に
何
(
ど
)
うしても支那人だと思い詰め今では其住居其姓名まで知て居ます、其上殺した原因から其時の様子まで略ぼ分って居ます
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「
全
(
まる
)
で
狂気
(
きちがい
)
だ。チョイと人が一言いえば
直
(
すぐ
)
に腹を
立
(
たっ
)
てしまッて、手も附けられやアしない」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
何と思ったか婢もまた
立
(
たっ
)
て
行
(
いっ
)
たので、この間にと皺のない紙へ皺をつけて、
両女
(
ふたり
)
の坐って居た辺へ投出した、小歌は
手水
(
ちょうず
)
に下りたので、帳場の前で
箱丁
(
はこや
)
に何か云って居る処へ婢が来て
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
ところが暫らく
立
(
たっ
)
てから、同じ人から、貴国からの返事が遅いものだから、
先
(
さ
)
きに出資を申出た富豪がモウ出資を見合せるといい出した、右の次第だから御返事には及ばぬといって来た。
人格を認知せざる国民
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
諸方
(
ほうぼう
)
の
店頭
(
みせさき
)
には
立
(
たっ
)
て
素見
(
ひやか
)
している人々もある。こういう向の雑書を猟ることは、
尤
(
もっと
)
も、相川の目的ではなかったが、ある店の前に立って見渡しているうちに、不図眼に付いたものがあった。
並木
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
これまた慌てて帰ったとの事だが、この噂が
溌
(
ぱっ
)
と
立
(
たっ
)
て、客人の足が絶え営業の継続が出来ず、
遂々
(
とうとう
)
この
家
(
いえ
)
も
営業
(
しょうばい
)
を
廃
(
やめ
)
て、
何処
(
どこ
)
へか
転宅
(
てんたく
)
してしまったそうだ、それに付き或る者の話を聞くに
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
続
(
つづ
)
いてダリュシカも
来
(
き
)
、
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
えぬ
悲
(
かな
)
しそうな
顔
(
かお
)
をして、一
時間
(
じかん
)
も
旦那
(
だんな
)
の
寐台
(
ねだい
)
の
傍
(
そば
)
にじっと
立
(
たっ
)
たままで、それからハバトフもブローミウム
加里
(
カリ
)
の
壜
(
びん
)
を
持
(
も
)
って、やはり
見舞
(
みまい
)
に
来
(
き
)
たのである。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
茂った樹々の下陰には、もう夜の闇が、陰気な
隈
(
くま
)
を作っていた。私は何となく
身内
(
みうち
)
がゾクゾクして来た。私の前に
立
(
たっ
)
ている青白い青年が、普通の人間でなくて、
魔法使
(
まほうつかい
)
かなんかの様に思われて来た。
目羅博士の不思議な犯罪
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
今日しも満天下の常識屋どもの
胆
(
きも
)
っ玉をデングリ返してくれんがために、突然の自殺を思い
立
(
たっ
)
たるその
序
(
ついで
)
に、古今無類の遺言書を発表して、これを読む奴と、書いた奴のドチラが馬鹿か、気違いか
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
爛々
(
らんらん
)
たる
火焔
(
かえん
)
を
吐
(
はき
)
て
矗
(
すっく
)
と
立
(
たっ
)
たる
鬼桃太郎
(新字新仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「この乱暮さを御覧なさい、座る所もないのよ。」と
主人
(
あるじ
)
の少女はみしみしと音のする、急な階段を先に
立
(
たっ
)
て
陞
(
のぼ
)
って
二少女
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
馬関の渡海
小倉
(
こくら
)
から下ノ関に船で来る時は怖い事がありました。途中に出た所が少し荒く風が
吹
(
ふい
)
て
浪
(
なみ
)
が
立
(
たっ
)
て来た。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
違
(
ちげ
)
えねえ、側に居たなア、何を云やアがるんで、
耄碌
(
もうろく
)
ウしてえるんだ、あん
畜生
(
ちきしょう
)
、ま師匠腹を
立
(
たっ
)
ちゃア
往
(
い
)
けねえヨ、己は
遂
(
つ
)
い
慌
(
あわ
)
てるもんだから
凹
(
へこ
)
まされたんだ
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
妻君も客を残して
立
(
たっ
)
て行く。大原
独
(
ひと
)
り
茫然
(
ぼうぜん
)
として座敷にありしが半襟の失敗にて心安からず。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
つまらないものを作ったものだなと考えた。箱の上に尺四方ばかりの姿見があってその左りに「カルルス」泉の
瓶
(
びん
)
が
立
(
たっ
)
ている。その横から茶色のきたない皮の手袋が半分見える。
倫敦消息
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
三の戸まで何ほどの
里程
(
みちのり
)
かと問いしに、三里と答えければ、いでや一走りといきせき
立
(
たっ
)
て進むに、
峠
(
とうげ
)
一つありて登ることやや長けれども
尽
(
つ
)
きず、雨はいよいよ強く面をあげがたく
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
貞婦
良人
(
おっと
)
の病を苦慮し東天いまだ白まざる前に社壇に
願
(
がん
)
を込むる処これ神の教会ならずや、余世の誤解する所となり攻撃四方に起る時友人あり独り
立
(
たっ
)
て余を弁ずる時これ神の教会ならずや
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
黄色な窓から頭を出している者で、踏切番の
小舎
(
こや
)
の前に
立
(
たっ
)
て白い旗を出していたこの男に眼を止めたものがあろう、或者は、黙って見て過ぎた。或者は唾を吐いて過ぎた。中には
哀
(
あわれ
)
な老人だ。
僧
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
東京へ来てからは、性来の
吏才
(
りさい
)
が役に
立
(
たっ
)
て、大蔵省の判任官を奉じ、長い間
煙草
(
たばこ
)
専売局に勤めていた。妻と男の子一人、女の子三人の六人暮しで、住宅は麹町下六番町十番地の
長屋建
(
ながやだて
)
であった。
友人一家の死
(新字新仮名)
/
松崎天民
(著)
誰が腹を
立
(
たっ
)
てると云いました。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「まだ小供ですもの、ねえ」とお富は
立
(
たっ
)
て二人は暗い
階段
(
はしごだん
)
を危なそうに
下
(
お
)
り、お秀も一所に
戸外
(
そと
)
へ出た。月は稍や西に傾いた。夜は
森
(
しん
)
と更けて
居
(
い
)
る。
二少女
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
僅かな金でも……腹ア
立
(
たっ
)
ちゃアいけない、取ったと云うのではない、是には何か
理由
(
いりわけ
)
の有る事だろうと思うが、今帰って、
家内
(
これ
)
へ
厳
(
やかま
)
しく小言を申して居る処で
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
所が私の盗だ嗽茶椀が役に立て、その中に一杯飯を入れて、その上に汁でも何でも皆掛けて、
立
(
たっ
)
て
喰
(
く
)
う。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ああ、全く不思議! 私はいつしか例の長い梯子の下に来て
立
(
たっ
)
ていたのである。私はこの時また、二本の頭の上に突き立った黒い、太い烟突を見上た。きっと
彼
(
あ
)
の烟突に触れて見たら熱いだろう。
暗い空
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
また教会外に
立
(
たっ
)
て局外よりこれを見る時は今日までは神意の教導によりて歩む仁人君子の集合体と思いしものもまたその内に
猜疑
(
せいぎ
)
、偽善、
佞奸
(
ねいかん
)
の存するなきにあらざるを知れり、
尖塔
(
せんとう
)
天を指して高く
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
然
(
しかる
)
にふと物音の
為
(
し
)
たようであるから何心なく頭を上げると、自分から四五間離れた
処
(
ところ
)
に人が
立
(
たっ
)
て居たのである。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
今考えて見れば馬鹿々々しい訳ですが、実に強い男で「これは亥太郎には出来まい」と云うと腹を
立
(
たっ
)
て、「何でも出来なくって」と云い、人が蛇や虫を出して
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まだ新しいけれど粗末な家であった。家の傍には、幹ばかりの
青桐
(
あおぎり
)
が二本
立
(
たっ
)
ている。若葉が、びらびらと湿っぽい風に揺れている。井戸がその下にあって、
汲手
(
くみて
)
もなく淋しい。やはり雨が降っている。
抜髪
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
生も死も、宇宙万般の現象も尋常茶番となって了う。哲学で
候
(
そうろ
)
うの科学で御座るのと言って、自分は天地の外に
立
(
たっ
)
ているかの態度を以てこの宇宙を取扱う。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
傳「
私
(
わっち
)
は
左様
(
そう
)
言いましたよ、柳田典藏
様
(
さん
)
と云う
手習
(
てなれえ
)
の師匠で、易を
立
(
たっ
)
て
斯
(
こ
)
うとすっかり
列
(
なら
)
べ立ったので」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お富はカラコロカラコロと赤坂の方へ帰ってゆく、お秀はじっと其後影を
見送
(
みおくっ
)
て
立
(
たっ
)
て居た。(完)
二少女
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
立膝をおろして煙草を呑もうといたすと、ざア/″\/″\という音が庭でするは、丁度傘をさして人の
立
(
たっ
)
てゞもいるように思われますんで、疵もつ足の二人は驚きあわて顔見合せましたが
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
立
常用漢字
小1
部首:⽴
5画
“立”を含む語句
佇立
出立
突立
腹立
引立
立会
追立
衝立
逆立
立留
直立
言立
立派
建立
焦立
立退
立停
屹立
立籠
立出
...