“たっ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
31.3%
19.0%
9.5%
7.8%
7.3%
5.6%
2.8%
出発2.8%
2.2%
1.7%
1.7%
1.7%
1.1%
出立0.6%
0.6%
0.6%
0.6%
0.6%
発散0.6%
発程0.6%
経過0.6%
裁断0.6%
0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「……けれどたってのお言葉ゆえ申上げます。去年の極月ごくげつはじめでございましたか、長州藩の広岡さまが二日ほどご滞在あそばしました」
日本婦道記:尾花川 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ナゼそんな処にたっているのです、ズット奥へお通りなさい。今も婆やを貴嬢あなたの処へ上げてお昼の副食物おかずを伺おうと思っていた処です。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ですがたった一つ悪い事にはあの年になっだ女の後を追掛る癖が止みませんから私しは時々年に恥ても少しはつゝしむがよかろうと云いました
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
れが出来なくては大変だとうと、妙な事もあるもので、中津に和蘭オランダのスペルリングの読めるものがたっ一人ひとりある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
さても斯様かような地獄の起りが。いわく因縁イロハのイの字の。そもや初めと尋ねるならば。文明開化のおかげと御座る。そこで世界の文明開化の。日進月歩の由来と申せば。科学知識のたっとい賜物たまもの
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
紙入かみいれに金を入れて置く、ソレは二か三分か入れてある、入れてあるけれども何時いつまでたってもその金のなくなったことがない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
たって何か話が無いかとお尋ねならば、仕方がありません、わたくしが少時の間——左様です、十六七の頃に通学した事のある漢学や数学の私塾の有様や、其の頃の雑事や
学生時代 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「どうするものか真赤な顔をして逃げてって了うた、それから直ぐ東京を出発たっ何処どこへも寄らんでずんずんもどって来た」
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
人を見る目も出来れば人の価値も信実もわかってくる。阿諛あゆと権謀の周囲で、離れてはじめてたっとさのわかるのはまことだけだ。
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「だっておたっつぁん、どうたって。……」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
それから五六日経って、あなたは私共の店へ、後にも先にも、たった一度切りおいでなさいましたわね。
青バスの女 (新字新仮名) / 辰野九紫(著)
しかれども余も社交的の人間として時には人為の礼拝堂につどい衆とともに神をめともに祈るの快を欲せざるにあらず、教会の危険物たる余はたって余の感情を述べ他を勧むるの特権なければ
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
うんや、そうやすやすとはれねえだ。旦那様のいいつけで三原伝内が番するうちは、敷居もまたがすこっちゃあねえ。たって入るならおれを殺せ。さあ、すっぱりとえぐらっしゃい。
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ヤ細川! 突如だしぬけ出発たったので驚いたろう、何急に東京を娘に見せたくなってのう。十日ばかりも居る積じゃったがしゃくさわることばかりだったから三日居て出立たっしまった。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
するとお前さん、大将が私の前までおいでなすって、お前にゃたった一人の子息むすこじゃったそうだなと、恐入った御挨拶でござえんしょう。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
一、人、古今に通ぜず、聖賢を師とせざれば、則ち鄙夫ひふのみ。書を読み友をたっとぶは君子の事なり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
落人おちうど両人の者は夜分ひそかにその艀船はしけに乗り移り、神奈川以東の海岸からのぼる積りに用意した所が、その時には横浜から江戸に来る街道一町か二町目ごとに今の巡査じゅんさ交番所見たようなものがずっとたって居て
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
と宗觀も音助もびっくり致しました。絶え/″\に成っていました新吉はのりに染った手を突き、耳をたって聞いております。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
乾きかけたたもとからは酒臭いにおいが発散たっていました。
(ですがね、貴下あなた、無理にも発程たってお帰り遊ばそうとするのは——それはお考えものなんですよ。……ああ、綾さんが見えました。)
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
多方おおかたもう十兵衛が来そうなものと何事もせず待ちかくるに、時はむなしく経過たって障子の日晷ひかげ一尺動けどなお見えず、二尺も移れどなお見えず。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そうなると、頭をよく働かして、たいへん手早く巧者に裁断たってしまって、早縫いの競争なのだが、母が見廻りにくると、実に丁寧な縫いかたをしている。
今ならば巡査が居るとか人の家に駈込かけこむとか云うこともあるが、如何どうして/\騒々しい時だから不意に人の家に入られるものでない、かえって戸をたっ仕舞しまっ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)