トップ
>
唯
>
たっ
ふりがな文庫
“
唯
(
たっ
)” の例文
驚くまいことか、これがお政が
外出
(
そとゆき
)
の
唯
(
たっ
)
た一本の帯、升屋の老人が特に祝わってくれた品である。
何故
(
なぜ
)
これが
此所
(
ここ
)
に隠してあるのだろう。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
ですが
唯
(
たっ
)
た一つ悪い事にはあの年に
成
(
なっ
)
て
猶
(
ま
)
だ女の後を追掛る癖が止みませんから私しは時々年に恥ても少しは
謹
(
つゝし
)
むが
好
(
よか
)
ろうと云いました
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
私
(
わたくし
)
は他に子供はございません、
此様
(
こん
)
の田舎育ちの野郎でも、
唯
(
たっ
)
た
一粒者
(
ひとつぶもの
)
でございます、人間は馬鹿でございますが、私の
死水
(
しにみず
)
を取る奴ゆえ
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何処
(
どこ
)
か近くの家で
百万遍
(
ひゃくまんべん
)
の念仏を称え始める声が、ふと物哀れに耳についた。蘿月は
唯
(
たっ
)
た一人で
所在
(
しょざい
)
がない。退屈でもある。
薄淋
(
うすさび
)
しい心持もする。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それに、織さん、近頃じゃ
価
(
ね
)
が出ましたっさ。
錦絵
(
にしきえ
)
は……
唯
(
たっ
)
た一枚が、雑とあの当時の二百枚だってね、大事のものです。
貴下
(
あなた
)
にも大事のもので、またこっちも大事のものでさ。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
わたしにとっては身をいためた
唯
(
たっ
)
た一人の子です、親の慾目かも知れませんが、あれも決して心からあんな性質ではありません、わたしに仕えて呉れるだけでも、思い遣りの深い
日本婦道記:萱笠
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「何、もう
直
(
すぐ
)
です。御覧なせえまし、
唯
(
たっ
)
た三四
間
(
けん
)
の所でさあ。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
さ「いえ/\、飛んでもない事を云う、お気の毒だが遣れません、
唯
(
たっ
)
た一人の娘です、それを遣っては食うことに困ります」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
空は鏡のように
明
(
あかる
)
いのでそれを
遮
(
さえぎ
)
る堤と木立はますます黒く、星は宵の明星の
唯
(
たっ
)
た一つ見えるばかりでその
他
(
た
)
は
尽
(
ことごと
)
く余りに明い空の光に掻き消され
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
其は
恁
(
こ
)
うぢやよ、
一月
(
ひとつき
)
の
余
(
よ
)
も前ぢやわいの、何ともつひぞ見たことのない、
都
(
みやこ
)
風俗
(
ふうぞく
)
の、
少
(
わか
)
い美しい嬢様が、
唯
(
たっ
)
た
一人
(
ひとり
)
景色を見い/\、此の野へござつて
私
(
わし
)
が
処
(
とこ
)
へ休ましやつたが、此の奥にの
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
袖
(
そで
)
で
拭
(
ふい
)
て「お前さんだって立派な職人じゃないか、それに
唯
(
たっ
)
た二人きりの
生活
(
くらし
)
だよ。それがどうだろう、のべつ貧乏の仕通しでその貧乏も唯の貧乏じゃ無いよ。満足な家には一度だって住まないで
何時
(
いつ
)
でもこんな物置か——」
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
私
(
わし
)
が中へ入って二人共末長く夫婦にしてやりたい心得だから、
何
(
ど
)
うか
唯
(
たっ
)
た一人のお娘子だが、友之助にやっては下さらんか、
私
(
わし
)
が
媒妁
(
なこうど
)
になります
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
初に変らず娘のままで居残ったのは
唯
(
たっ
)
た一人になった。それは芸名を春川千代子といって年は十九。戦争中も
幸
(
さいわい
)
に焼けなかった葛飾区高砂町の荒物屋の娘である。
心づくし
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
薫
(
かおり
)
の高い薬を噛んで口移しに含められて、膝に抱かれたから、一生懸命に
緊乎
(
しっかり
)
縋
(
すが
)
り着くと、背中へ廻った手が空を
撫
(
な
)
でるようで、娘は
空蝉
(
うつせみ
)
の
殻
(
から
)
かと見えて、
唯
(
たっ
)
た二晩がほどに、糸のように
瘠
(
や
)
せたです。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
杢「
姿形
(
なりかたち
)
に惚れたのではない、
唯
(
たっ
)
た一つ娘の見込があります、
只
(
たっ
)
た一つ臍から二寸ばかり下に見所があるのサ」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
唯
(
たっ
)
たお一人。」
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
貴方がいつまでもお眼が悪いと
唯
(
たっ
)
た一人のお嬢様が
夜中
(
やちゅう
)
に出て
神詣
(
かみまい
)
りをなさるのは宜しいが、深夜に間違いでもあれば、これ程お堅い結構な方に
瑾
(
きず
)
を付けたら
何
(
ど
)
うなさる
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
斯うやって
草鞋穿
(
わらじばき
)
になり田舎者の
仮色
(
こわいろ
)
を
遣
(
つか
)
い、大勢を騒がし、首尾よく往った所が
唯
(
たっ
)
た八十両、成程是れは
小
(
ちい
)
せえ、それに引換え旦那などは座蒲団の上で、
啣
(
くわ
)
え煙管をしながら
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
宜
(
よ
)
いか
先非
(
せんぴ
)
を悔い、あゝ悪い事をした、
唯
(
たっ
)
た一人の子を殺したお前の心の苦しみというものは一通りならん事じゃ、是も
皆
(
みな
)
罰
(
ばち
)
だ、一念の迷いから我子を殺し、其の心の苦しみを受け
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
唯
(
たっ
)
た一人の娘を
勾引
(
かどわか
)
されましては生甲斐のない身の上、
寧
(
いっ
)
そ一思いに死にとうございますから、
先刻
(
さっき
)
来る道にありました谷川へ身を投げて死にますから、
貴方
(
あなた
)
はお先へお帰り下さいまし
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
打たずに帰って来ましたが、
四足
(
よしあし
)
でせえも、あゝ
遣
(
や
)
って子を打たれゝば、うろ/\して
猟人
(
りょうし
)
の
傍
(
そば
)
までも山を下って探しに来るのに、人間の身の上で
唯
(
たっ
)
た一人の忰を置いて
遁
(
に
)
げると云うは
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
玄「フン、これは
唯
(
たっ
)
た二百
疋
(
ぴき
)
ですねえ、もし宜く考えて見ておくんなさい」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
皆
(
みんな
)
我
(
が
)
が折れて改心というような
顔色
(
がんしょく
)
をして、山三郎の来るのを待って居りますと、
此方
(
こなた
)
の石井山三郎は実に強い男で、
唯
(
たっ
)
た一人で南山の粥河の
賊寨
(
ぞくさい
)
へ其の日の夕景に乗込んで参るというお話
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
唯
(
たっ
)
た一人の
妹
(
いもうと
)
お藤を盗賊の所へ縁附ける
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
唯
常用漢字
中学
部首:⼝
11画
“唯”を含む語句
唯一
唯々
唯一人
唯今
唯物
唯唯
唯々諾々
唯事
唯我独尊
唯者
唯識
唯中
唯〻
唯一不二
唯物論者
唯一言
真唯中
唯有
唯識論
唯独
...