おも)” の例文
* これらの章はおもうにアリストテレス哲学の構成を模範的に示しているものであって、『倫理学』第一巻の最初の数章とともに
科学批判の課題 (新字新仮名) / 三木清(著)
かく十二禽から切り離して十二支の名目を作ったは支那人の大出来で、暦占編史を初めその文化を進むるに非常の力を添えた事とおもう。
ちんおもう、競争は商業上にも必要なることを。しかり、競争は国家にも国民にも必要にして、互いに相促進して新勢力を与うるものなり。
世界平和の趨勢 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
さては相見ての後のたゞちの短きに、戀ひ悲みし永の月日を恨みて三ぱつあだなるなさけを觀ぜし人、おもへばいづれか戀のやつこに非ざるべき。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
吾人は初めよりおもへらく、この日露両国を主人公とする大活劇は、旅順の陥落に第一幕を終り、波羅的バルチツク艦隊の全滅に第二幕を終らむと。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
おもふに、ゑがける美人びじんは、ける醜女しうぢよよりもなりつたく、かん武帝ぶてい宮人きうじん麗娟りけんとしはじめて十四。たまはだへつややかにしてしろく、うるほふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ねえ、どうしてもこれは水滸伝すいこでんにある図だらう。おもふに、およそ国利をまもり、国権を保つには、国際公法などは実は糸瓜へちまの皮、要は兵力よ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
常におもふ、志を行はんとするものは必らずしも終生を労役するに及ばず。詩壇の正直男(ゴールドスミス)このこゝろを賦して言へることあり。
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
おもうに今度の黒手組事件は、よくある不良青年の気まぐれなどではなくて、非常に頭の鋭いしかも極めて豪胆な連中の仕業しわざに相違ありません。
黒手組 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
おもうに、本校の目的たる、学生諸君をしてすみやかに真正の学問を得せしめ、早くこれを実際に応用せしめんと欲するに在るのみ(謹聴、拍手)。
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)
おもうに人類とともに旧き霊魂不滅説なども畢竟ひっきょう耳にかそけく、目にも見分かぬ雨の類であろうか。エクート・シル・プルー!
雨の日 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
おもうに、人類——ことに東洋の——にとって、空は直ちにみそらであり天上であり、すでに立派に宗教概念の領域に属する。
踊る地平線:04 虹を渡る日 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
おもうに、私はようこそ生まれつき植物に愛を持って来たものだと、またと得がたいその幸福を天に感謝している次第しだいである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
唯うっとりと、塔のもとから近々と仰ぐ、二上山の山肌に、うつの目からは見えぬ姿をおもようとして居るのであろう。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
おもふにわたくしの彼疑がけたら、随つて和田さんの此疑も釈けるのではなからうか。多く古書の聚散遷移の迹を識つてゐる人の教を乞ひたい。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
しこうしてその遂に鎖国に類するの策を主張し、討幕の率先者となりたるは、おもうに時勢の刺激しからしむるためと知らずや。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
おもうに、機智や諧謔の表面的な面白さより、それを創り出す人間性の逞しさに憧れていたのかもしれない。私はいつかはセルバンテスを読ませたかった。
忘れがたみ (新字新仮名) / 原民喜(著)
おもフニ日本貴族ノコノ傲慢ナル風習ヲ改メシムルノ道ハ、耶蘇教やそけうノ恩沢ヲコレニ蒙ラシムルノ外アルベカラズ
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
しからば、どうしてそういうことになったかというと、おもうに頭山翁は「雲」のこういう略し方、こういう形に興味を持っていて、いく度も書いているのであろう。
現代能書批評 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
おもうに、私等親子のいつくしみを受けて、曾て痛い目にった事なく、暢気のんきに安泰に育ったから、それで此様こんなに無邪気であったのだろうが、ああ、想出しても無念でならぬ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そこには動かすことの出来ない実際的睿智えいちが動いているのを私は感ずることが出来る。おもうに動物には、ダーウィンが発見した以外に幾多の本能が潜んでいるに相違ない。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
伏しておもふに皇帝陛下、一を得て光宅くわうたくし、三に通じて亭育ていいくしたまふ。紫宸にいまして徳は馬のつめの極まるところにかがふり、玄扈げんこいまして化は船のいたるところを照したまふ。
わん喉吻こうふん潤い、二椀孤悶こもんを破る。三椀枯腸をさぐる。おもう文字五千巻有り。四椀軽汗を発す。平生不平の事ことごとく毛孔に向かって散ず。五椀肌骨きこつ清し。六椀仙霊せんれいに通ず。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
このおもしろみ読書の面白味にもあらず談理のおもしろみにもあらで一種変梃へんてこなおもしろみに候、小生おもふに学者の楽しむ所は理のおもしろみ、詩人の楽しむ所は情のおもしろみ
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
おもうに、なんじ観想かんそうによって救わるべくもないがゆえに、これよりのちは、一切の思念をて、ただただ身を働かすことによってみずからを救おうと心がけるがよい。時とは人の作用はたらきいいじゃ。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
なおまた私は、これらは、おもうに、人間の智能にとりましてはさらにすぐれた根拠を発見し得るいかなる道も開かれていないような性質のものであるということを、附け加えるでありましょう。
おもうに、人身攻撃、悪口の斬捨御免でない限り不注意な誤謬ケヤレスミスを注意してやる程度のものならば、あえて堂々と本名を名乗るにも及ぶまいと、マイナスをプラスにする家常茶飯の注意を促すには
青バスの女 (新字新仮名) / 辰野九紫(著)
されど、嗚呼ああされど、予はけんに臨んで、なほ惶々くわうくわうとして自ら安からざるものあるを覚ゆ。おもふに予が過去を点検し記載するは、予にとりてふたたび過去の生活を営むと、畢竟ひつきやう何の差違かあらん。
開化の殺人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
だが、おもへば私はき過ぎた。曙は胸ゑぐ
トドは海狗の一種で、海狗が人に化ける譚北欧に多い(ケートレーの『精魅誌』)。おもうに北陸の猩々は海狗を誤認したのだろう。
脊丈のほどもおもわるる、あの百日紅さるすべりの樹の枝に、真黒まっくろ立烏帽子たてえぼし鈍色にぶいろに黄を交えた練衣ねりぎぬに、水色のさしぬきした神官の姿一体。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
われおもへらく、人の心も亦た斯くの如くなるにあらざるか。心に宮あり、宮の奥に更に他の宮あるにあらざるか。
各人心宮内の秘宮 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
若し水路を行くことを辞するときは、職をうばはれるおそれがある。先生は少くも水野が必ず職を褫ふだらうとおもつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ひそかおもうに、嘉永、安政より元治、慶応におよんで三個の思想あり。一は原動的思想にして、他は反動的思想なり、しこうしてその中間にるは折衷せっちゅう的思想なり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
おもうて見れば誠に不思議なもので小学校も半分しかやらず、その後何処どこの学校へも這入らず
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
おもふに、少しくそれに通暁する者は、文化の源泉が政治的地盤に湧出する者に非ざるの事実と共に、良好なる政治的動力の文化の進程に及ぼす助長的効果の事実をも承認せざる能はず候。
渋民村より (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
おもうに、この間に処して独立の躰面を全うする、事はなはだ容易ならず。
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)
マルクスの遵奉者はおもうに、なお極めて重要なひとつの任務を
科学批判の課題 (新字新仮名) / 三木清(著)
『仏本行集経』三三に、仏、成道じょうどうして最初に説法すべき人を念じ、優陀摩子うだまししかるべしとおもうに、一天神来りて彼は七日前に死んだと告ぐ。
おゝ! 君達きみたちにもほゞ想像さうざう出来できるか、おうらさらはれた、天狗てんぐつかんだ、……おそらくうだらう。……が、わたしこれ地祇神とちのかみ所業しよげふおもふ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼れしこうして今に至って、十年苦学の要を説く、そもそも何ぞや。独り新見聞のためのみならず、おもうに獄中の静想は、彼をしてかくの如く清心遠識ならしめたるか。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
おもうて見れば誠に不思議なもので小学校も半分しかやらず、その後何処の学校へも這入らず、何の学歴も持たぬ私がポッカリ民間から最高学府の大学助手になり、講師になり
此養子が良椿りやうちん信政である。おもふに享保中の頃であらう。仮に享保元年とすると、有信が三十六歳、信政が四歳、又享保十八年とすると、有信が五十三歳、信政が二十一歳である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
われ常におもへらく、至粋しすゐは極致の翼にして、天地に充満する一種の精気なり。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
おもうに小児が飼犬を単に白とか赤とか呼ぶごとく、その頃まで天斑駒あまのぶちごま甲斐かいの黒駒など生処と毛色もて呼ぶに過ぎなかったろう。
煽動あふり横顔よこがほはらはれたやうにおもつて、蹌踉よろ/\としたが、おもふに幻覚げんかくからめた疲労ひろうであらう、坊主ばうず故意こいうしたものではいらしい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このコミカンはすこぶる長寿を保つ樹で、今日でもその巨大な樹が諸州に残っている事を見受ける。おもうにこの蜜柑は他の品種に比べて最も永い年歴の間我日本を支配したものであったであろう。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
シュミットの見解かえって正し、熊楠由っておもうに、バシリスクが自分の影を見て死するものがたりは、鱷の顔至って醜きより生じたのであろう。
おもうべし近常夫婦の塚に、手向けたる一捻いちねんの白饅頭のけるがごとかりしを。しかのみならず、梅鉢草の印のたがねを拾って、一条の奇蹟をとりに授けたのを。
自分不案内の事ながら自分や知人どもが知り得た所に拠ると、どうも日本の鶏が雑種多くなるにれて鳴く時が一定せぬようになったとおもう。