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堪
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た
ふりがな文庫
“
堪
(
た
)” の例文
官自ら以て尊しとするか官の
驕傲
(
きょうごう
)
憎むべし。民自ら以て卑しとするか民の意気地なき真に笑ふに
堪
(
た
)
へたり。同くこれ国家の糧食なり。
従軍紀事
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
山中
(
さんちう
)
江
(
え
)
の
浦
(
うら
)
にて
晝食
(
ちうじき
)
、
古代
(
こだい
)
そつくりの
建場
(
たてば
)
ながら、
酒
(
さけ
)
の
佳
(
か
)
なる
事
(
こと
)
驚
(
おどろ
)
くばかり、
斑鯛
(
ふだひ
)
?の
煮肴
(
にざかな
)
、
蛤
(
はまぐり
)
の
汁
(
つゆ
)
、
舌
(
した
)
をたゝいて
味
(
あぢは
)
ふに
堪
(
た
)
へたり。
熱海の春
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
わたしはもうこんな楽しい景色を見るに
堪
(
た
)
えられなくなって、手あらく窓をしめきって、急いで床のなかに飛び込んでしまいました。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
何かを払いのけようとする、その表情が何に
堪
(
た
)
えきれないのかと、彼はぼんやり従いて歩いた。突然、女はビリビリと声を震わせた。
火の唇
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
力は内にある確信と、この確信を実行するためにあらゆる障害に
堪
(
た
)
える意志である、しかしてかくして得たる力が真に強き力である。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
▼ もっと見る
波田は、チエンロッカーが、そんな歴史を持っていることによって、その困難な労働をなお一層不快ないやな、
堪
(
た
)
え難いものにした。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
と、さも
横風
(
おうふう
)
に云った。あまり好い心持ではなかった。何の必要があって、こう自分を
軽蔑
(
けいべつ
)
するんだか不平に
堪
(
た
)
えない。それで単に
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
能面に対してこれほど盲目であったことはまことに
慚愧
(
ざんき
)
に
堪
(
た
)
えない次第であるが、しかしそういう感じ方にも意味はあるのである。
能面の様式
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
というわたしをこの人はまだこどものように見てなにかと覚束ながる。
互
(
たがい
)
に眼を
瞠目
(
みは
)
って、よくぞこのうき世の
荒浪
(
あらなみ
)
に
堪
(
た
)
うるよと思う。
愛よ愛
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
今は儂にとりて
着物
(
きもの
)
の如く、
寧
(
むしろ
)
皮膚
(
ひふ
)
の如く、居れば安く、離るれば苦しく、之を失う場合を想像するに
堪
(
た
)
えぬ程愛着を生じて来た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
もち前のとり澄まし方に、じっと
堪
(
た
)
えていた泰子は、忠盛が、
自嘲
(
じちょう
)
を発すると、むかと、顔に血をうごかして、すぐ反撥して来た。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
基康 わしの前で
内輪
(
うちわ
)
の争いは、見るに
堪
(
た
)
えぬわい。
申
(
さる
)
の
刻
(
こく
)
までに考えを決められい。
猶予
(
ゆうよ
)
はなりませぬぞ。(退場。家来つづく)
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
路面に転っていると、群衆に踏みつぶされる
虞
(
おそ
)
れがあるので彼は
痛手
(
いたで
)
を
堪
(
た
)
えて、じりじりと、
商家
(
しょうか
)
の軒下へ、虫のように
匍
(
は
)
っていった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ぼくは、しばしポカンとしていましたが、
堪
(
た
)
え切れなくなると、「そうですか」と一言。泣きッ
面
(
つら
)
をみられないようにまた暗い甲板に。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
暫らくは、強い緊張の
裡
(
うち
)
に、父も子も黙っていた。が、父はその緊張に
堪
(
た
)
えられないように、面を
俯
(
うつむ
)
けたまゝ、
呟
(
つぶや
)
くように
云
(
い
)
った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
凡
(
およ
)
そ高利の術たるや、
渇者
(
かつしや
)
に水を売るなり。渇の
甚
(
はなはだし
)
く
堪
(
た
)
へ難き者に至りては、決してその肉を
割
(
さ
)
きてこれを換ふるを辞せざるべし。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そこを自得の
袈裟掛
(
けさが
)
け一刀、伊那高遠の八幡社頭で、夜な夜な鍛えた生木割り! 右の肩から胸へ掛け、水も
堪
(
た
)
まらず切り放した。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
俳諧はつまりその単調に
堪
(
た
)
え切れずして起こったのであるが、芭蕉翁の到達しても、実はまだ完全にこれを打破したとは言えない。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
これから満洲の田舎路を日本の里数で約三里も歩かせられては
堪
(
た
)
まらないと思ったので、堀部君は途中で供のシナ人に相談した。
雪女
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
時は九月の中旬、残暑はまだ
堪
(
た
)
え難く暑いが、空には既に清涼の秋気が
充
(
み
)
ち渡って、深い
碧
(
みどり
)
の色が
際立
(
きわだ
)
って人の感情を動かした。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
私はどうも絵が習って見たくて
堪
(
た
)
まらなくなってしまったので、父に無理をいってとうとう天満の祥益先生を訪れたものだった。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
『
天下
(
てんか
)
の
役人
(
やくにん
)
が、
皆
(
みな
)
其方
(
そち
)
のやうに
潔白
(
けつぱく
)
だと、
何
(
なに
)
も
言
(
い
)
ふことがないのだが。‥‥』と、
但馬守
(
たじまのかみ
)
は、
感慨
(
かんがい
)
に
堪
(
た
)
へぬといふ
樣子
(
やうす
)
をした。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
淋
(
さび
)
しきまゝに
琴
(
こと
)
取出
(
とりいだ
)
し
獨
(
ひと
)
り
好
(
この
)
みの
曲
(
きよく
)
を
奏
(
かな
)
でるに、
我
(
わ
)
れと
我
(
わ
)
が
調
(
てう
)
哀
(
あは
)
れに
成
(
な
)
りて、いかにするとも
彈
(
ひ
)
くに
得
(
え
)
堪
(
た
)
えず、
涙
(
なみだ
)
ふりこぼして
押
(
おし
)
やりぬ。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
こういう夫を持たされた妻の寂しさは、娼婦にも母婦にも、勝気な者にも内気な者にも、何として
堪
(
た
)
えることが出来よう。………
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
じっとひとりで部屋に坐りこみいろいろな物思いにもてあそばれることには
堪
(
た
)
えきれず、「世間の人間に会い、」気ばらしをし
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
それがどうしてあんなに見えたのか、臆病
故
(
ゆえ
)
の錯覚としても、余りにその差が
甚
(
はなはだ
)
しく、千代子は不思議に
堪
(
た
)
えられませんでした。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
幾年間
(
いくねんかん
)
女の
身一人
(
みひとつ
)
で生活と戦つて来たが、今は
生命
(
いのち
)
に
等
(
ひと
)
しい希望の光も
全
(
まつた
)
く消えてしまつたのかと思ふと
実
(
じつ
)
に
堪
(
た
)
へられぬ
悲愁
(
ひしう
)
に
襲
(
おそ
)
はれる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
乃
(
すなわ
)
ち剣を
提
(
ひっさ
)
げて、衆に先だちて敵に入り、左右奮撃す。
剣鋒
(
けんぽう
)
折れ欠けて、
撃
(
う
)
つに
堪
(
た
)
えざるに至る。
瞿能
(
くのう
)
と
相
(
あい
)
遇
(
あ
)
う。
幾
(
ほと
)
んど能の為に及ばる。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
追憶
(
つゐおく
)
に
堪
(
た
)
へなくなつてはお
品
(
しな
)
の
墓塋
(
はか
)
に
泣
(
な
)
いた。
彼
(
かれ
)
は
紙
(
かみ
)
が
雨
(
あめ
)
に
溶
(
と
)
けてだらりとこけた
白張提灯
(
しらはりちやうちん
)
を
恨
(
うら
)
めし
相
(
さう
)
に
見
(
み
)
るのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
わが
將來
(
ゆくすゑ
)
の事につきて諸〻のいたましき
言
(
ことば
)
を聞きたり、但し命運我を
撃
(
う
)
つとも我よく自らとれに
堪
(
た
)
ふるをうるを覺ゆ 二二—二四
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
堪
(
た
)
え
難
(
がた
)
き
恐
(
おそろ
)
しさは
電
(
いなづま
)
の
如
(
ごと
)
く
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
に
閃
(
ひらめ
)
き
渡
(
わた
)
って、二十
有余年
(
ゆうよねん
)
の
間
(
あいだ
)
、どうして
自分
(
じぶん
)
はこれを
知
(
し
)
らざりしか、
知
(
し
)
らんとはせざりしか。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
しかも、しかも、もはや寸分といえども正視するには
堪
(
た
)
えなかった。片手で顔を掩うたまま獣
眼蒐
(
めが
)
けて続けざまに引金を引いた。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
しかし、ここには音楽の白亜紀、カンブリア紀を避けて、一般人の鑑賞に
堪
(
た
)
える
僅少
(
きんしょう
)
の作品と、そのレコードを
挙
(
あ
)
ぐるに止めようと思う。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
かゝる
不届
(
ふとどき
)
の狼藉者を、かほどの大勢にて御見送り賜はる、貴藩の御政道の明らかなる事、まことに感服に
堪
(
た
)
へたりと云ふ可し。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それで自分の生涯を顧みてみますれば、まだ外国語学校に通学しておりまする
時分
(
じぶん
)
にこの詩を読みまして、私も
自
(
おのず
)
から同感に
堪
(
た
)
えなかった。
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
女衣服
(
おんなぎ
)
を着せたのは、
永
(
なが
)
の病気に、重きは
堪
(
た
)
えられまじ、少しでも軽くしてやろうと、偶然にもその日それを着せたのである。
取り交ぜて
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
さては老朽してもさすがはまだ職に
堪
(
た
)
えるものか、しかし日本服でも勤められるお手軽なお身の上、さりとはまたお気の毒な。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
春のめざめの頃に感じる
逞
(
たくま
)
しい空想力を、どんなにしても
堪
(
た
)
え忍ぶことの出来なかった自分の少女の頃のことをふっとおもい出すのでした。
新生の門:――栃木の女囚刑務所を訪ねて
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
またそれかといって若宮とお別れしている苦痛にも
堪
(
た
)
えきれる自信がないと未亡人は思うので、結局若宮の宮中入りは実行性に乏しかった。
源氏物語:01 桐壺
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
その
貧
(
まづ
)
しさには決して
堪
(
た
)
へられません。私達はもう少し
人間
(
にんげん
)
らしく生きなければなりません。今にもうすぐ私達の一生にも
冬
(
ふゆ
)
がまゐります。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
名を
食糧
(
しよくれう
)
の不足に
託
(
たく
)
して又衆と
分
(
わか
)
る、明日は天我一行をして
文珠岩
(
もんじゆいわ
)
を発見せしむるあるを
知
(
し
)
らざるなり、其
矇眛
(
もうまい
)
なる心中や
憐
(
あは
)
むに
堪
(
た
)
へたり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
わたしは一刻もここに立っているに
堪
(
た
)
えられないので、早そうに階段を降りかかると、またもやわたしのさきに立ってゆく
跫音
(
あしおと
)
がきこえた。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
高橋信造は
此処
(
ここ
)
まで話して来て
忽
(
たちま
)
ち
頭
(
かしら
)
をあげ、西に傾く日影を
愁然
(
しゅうぜん
)
と見送って苦悩に
堪
(
た
)
えぬ様であったが、手早く
杯
(
さかずき
)
をあげて一杯飲み干し
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
しかしとうとう晩年には悲壮な
譃
(
うそ
)
つきだったことに
堪
(
た
)
えられないようになりました。この聖徒も時々書斎の
梁
(
はり
)
に恐怖を感じたのは有名です。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
厚い皮革製の
胡服
(
こふく
)
でなければ
朔北
(
さくほく
)
の冬は
凌
(
しの
)
げないし、肉食でなければ胡地の寒冷に
堪
(
た
)
えるだけの精力を
貯
(
たくわ
)
えることができない。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
妻君大原の様子がおかしきに
堪
(
た
)
えねど笑うにも笑われず「お登和さん、
折角
(
せっかく
)
のお
土産
(
みやげ
)
ですから」と大原のために言葉を添ゆる。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
マダして
宜
(
い
)
いこともあるだろう、
為
(
し
)
なくて
宜
(
い
)
いこともあるだろう、傍観者から
之
(
これ
)
を見たらば
嘸
(
さぞ
)
堪
(
た
)
え
難
(
がた
)
いことに思うでありましょうけれども
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
君等
(
きみら
)
の
其時
(
そのとき
)
の
擧動
(
ふるまひ
)
を
賞讃
(
しようさん
)
するのを
見
(
み
)
るにつけても、
實
(
じつ
)
に
斷膓
(
だんちやう
)
の
念
(
ねん
)
に
堪
(
た
)
えなかつたです——
何
(
なに
)
、あの
卑劣
(
ひれつ
)
なる
船長等
(
せんちやうら
)
は
如何
(
どう
)
したと
問
(
と
)
はるゝか。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
一蟻螻
(
ひとつのあり
)
を害す、なほ釈氏は憐れみに
堪
(
た
)
えざりし、一人を殺す、
如何
(
いか
)
ばかりの罪に当らむ。
況
(
いは
)
んや百万の衆生を残害するをや。
想断々(1)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
これは必ずしも私の神経が断定を下すにも
堪
(
た
)
えがたいほど病的な衰弱をきたしているから、とばかりは言えないようである。
文章の一形式
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
堪
常用漢字
中学
部首:⼟
12画
“堪”を含む語句
堪兼
堪忍
居堪
堪能
得堪
堪難
持堪
御堪能
不堪
押堪
一堪
堪忍袋
御堪忍
手堪
堪弁
堪能者
亦堪嗟
静思堪喜
難堪
踏堪
...