はなし)” の例文
が、授業の模様、旧生徒のうわさ、留学、竜動ロンドン、「たいむす」、はッばァと、すぺんさあー——相変らぬはなしで、おもしろくも何ともない。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
昔からのおはなしをすれば種々いろいろあるが、先ず近い所では現に三四年前、私が二人の仲間と一所に木曽の山奥へ鳥撃に出かけた事がある。
はなしの方は色気があるが、此方こっちはお色気には縁の遠い方だった。だが色っぽくないことは、八人組も御多聞ごたぶんれないのが多かった。
勘次かんじ利根川とねがは開鑿工事かいさくこうじつてた。あきころから土方どかた勸誘くわんいう大分だいぶうまはなしをされたので近村きんそんからも五六にん募集ぼしふおうじた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
何人も浦島太郎のはなしも竜宮を実際の土地とは考えまいが、それにもかかわらず、但馬守たじまもりの行ったという常世国が南方支那だとか
神代史の研究法 (新字新仮名) / 津田左右吉(著)
鶏がきぬぎぬの別れを急がしてにくまるるほかに、早く鳴いて、鬼神や人の作業を中止せしめた多くのはなしは別に出し置いたから御覧下さい。
えゝー段々と進んでまいりました離魂病のおはなしで、当席にうかゞいまする処は花里が勤めの身をもって情人伊之吉に情を立てるというくだり
あに様の御休日をえらび参り候て、心得になるはなしども聞き候え。拙もその日分り候わば、昔噺むかしばなしなりともしたたつかわし申すべし〔情思懇篤〕。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
軽い葛籠つづらを背負った舌切雀のはなしの中のおじいさんが、雀たちに送られて竹林を出て来る模様が古びている信玄袋です。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
まず全体の筋が「あやかしの皷」につきまとう、因果ばなしめいた一連のおはなしであるのが、私にはもの足りない。
当選作所感 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
それからまた、血のしたたる汁気しるけのある不思議な物がこしらえられる料理場もあり、ばかげた恐ろしいはなしをしてくれる老婢ろうひもいた……。ついに晩となる。
ルピック氏は、それでも、機嫌きげんのいい時には、自分から子供たちの相手になって遊ぶようなこともある。裏庭の小径こみちでいろんなはなしをして聞かせるのである。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
違うところもあるし、同じところもある。———アラビアン・ナイトと云うものは全体大人の読む本なんだよ。その中から子供が読んでもいいようなはなしだけを
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ちやうど冬の夕べ、ベシーが機嫌のいゝ時に、とき/″\聽かして呉れるはなしと同じやうに面白かつた。
藤吉郎は、べつにまた、銭を与えて、亭主に蕎麦そばなど打たせ、炉べりで酒を温めながら、まず自分から諸国のはなしをいろいろ持ち出し、やがて酒も程よくまわった頃
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「坊や、そんなにあばれるのはよしにして、パパが面白いおはなしをして上げるから、みんなを呼んどいで」
お勢登場 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
つていふはなし思出おもひだして「おぢさん、ライオンはなれたらねづみでもひませんか」と動物園どうぶつゑんのおぢさんにきました。すると、おぢさんのこたへはこうでした「すぐつちまふ」
「それはおはなしとして承れば美しいことかも知れませんわね。」さう云つて彼女は静かに微笑んだ。
静物 (新字旧仮名) / 十一谷義三郎(著)
だが、ラム・ダスのあの軽い足がなかったら、あんなはなしのような計画は実現出来なかったろうよ。
自分のはなしに身がって笑うのだと我点がてんしたと見えて赤い頬に笑靨えくぼをこしらえてケタケタ笑った。
倫敦消息 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
利生りしょう相見あいみえ豊年なれば、愈〻いよいよその瑞気ずいきを慕ひて懈怠けたい無く祭りきたり候。いま村にて世持役よもちやくと申す役名も、是になぞらへて祈り申す由に候。但し此時このとき由来伝へはなし有之これあり候也(以上)
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「むかし王様と女王様とがおられました、というおはなしのようだわ。私ほんとにうれしいこと!」
それはとにかくとして、私は祖母のふところでカチカチ山のはなしをきいてからというもの、狸汁について深い興味を持ちはじめたのである。南支の広州に、三蛇会料理というのがある。
たぬき汁 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
自分のはなしに身が入って笑うのだと合点したと見えて赤い頬に笑靨えくぼを拵えてケタケタ笑った。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
又先生は今も云う様にスケッチが上手であられたが、其為め失敗されたはなしも時々聞いた。
又先生は今も云う様にスケッチが上手であられたが、其為め失敗されたはなしも時々聞いた。
昔、或所の田甫たんぼに古狐がゐました。若い女に化けて旅人をだまさうとしたはなしがあります。
十五夜お月さん (旧字旧仮名) / 野口雨情(著)
もっともロシヤの子供達の生活に就いて云はれてゐる多くの事は、たゞのはなしにすぎないとは云へ、しかし其のための非常な試みのあつた事は認めなければならない。が、何故其の試みは失敗したか?
子供の保護 (新字旧仮名) / エマ・ゴールドマン(著)
面白いおはなしのこの上なく上手な話し手としての名誉と、矜恃きょうじとを失った彼女は、渾沌こんとんとした頭に、何かの不調和を漠然と感じる十二の子供として、夢と現実の複雑な錯綜のうちに遺されたのである。
地は饒なり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
説けりおはなしは山村俊雄としおと申すふところ育ち団十菊五を島原に見た帰りみち飯だけの突合いととある二階へ連れ込まれたがそもそもの端緒いとぐち一向だね一ツ献じようとさされたる猪口ちょくをイエどうも私はと一言を
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
「トはなしをして聞かしても」ト「ヴィクトル」は寝返りを打ッて
あいびき (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
與へて此寒このさぶいに御苦勞ごくらうなり此爐このろの火のぬくければしばらあたゝまりて行給ゆきたまへといふに寶澤は喜びさらば少時間すこしのまあたりて行んとやが圍爐裡端ゐろりばたへ寄て四方山よもやまはなしせしついで婆のいふやうは今年ことし幾歳いくつなるやと問ふに寶澤ははだ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「退屈しのぎに、隆吉へ何かはなしでもして下さいよ。」
反抗 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
『ベカッスさんの宝島探険』というおはなしなんです。
キャラコさん:08 月光曲 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
あつちややうや内儀かみさんのまへまれた。被害者ひがいしや老父ぢいさん座敷ざしきすみ先刻さつきからこそ/\とはなしをしてる。さうしてさら老母ばあさんんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
当時いまの殿様の曾祖父様ひいおじいさまの時代のはなしで、その奥様が二歳ふたつになる若様を残して御死亡おなくなりになりました、ソコで間もなくから後妻にどぞいをお貰いになって
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
西洋にも詩聖ダンテまで捲き添えを食わせたゲルフ党とギベリン党の内乱は全く犬の喧嘩に基づいたというが、はなしが長過ぎるからやめとする。
ここにチトなまめいた一条のおはなしがあるが、これをしるす前に、チョッピリ孫兵衛の長女お勢の小伝を伺いましょう。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
と、一寸法師のはなしに事よせて、座興をいったつもりであろう、遠慮のない笑いかたをした。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それより両国尾上町りやうごくをのへちやう京屋きやうや楼上ろうじやう集会しふくわいする事十とせあまり、これを聞くものおれれに語り、今は世渡よわたるたつきともなれり、峨江がこうはじめさかづきうかめ、すゑ大河たいがとなるはなしすゑ金銭きんせんになるとは
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
昔、きつねが美しいお姫様に化けて男をだましたが、寝ている間に正体をあらわして、化けの皮をがされてしまった。———私は何か、子供の時分に聞いたことのあるそんなはなしおもい出しました。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「こんなはなしもあるよ」とだまってる事のきらいな迷亭君が云った。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「さあ今度は母様の番だよ。母様何かおはなし
少年・春 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
見ながら奧へ入しがやがて立出折角せつかくの御出なれども今日は折惡をりあしく餅搗にて客も大勢あり一方成ぬ取込故御目に掛りて御はなしも成難く御どくながら御用もあらば明日にも御出あるべしと云にぞお菊は餘りの仕方しかたと腹は立共色にも見せずかさねて男に向ひ今宵は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
狐の おはなし
十五夜お月さん (旧字旧仮名) / 野口雨情(著)
勘次かんじたゞしなにのみこがれてたのであるが、段々だん/\日數ひかずつて不自由ふじいうかんずるとともみゝそばだてゝさういふはなしくやうにつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
同じはなしを重出せずに斉整して同時二篇に書き分けたものだ、南方さんは恐らく人間であるまいと驚嘆さるるに相違ない。
これは内證ないしょうのおはなしですがね、勿論もちろん百年も以前まえの事ですから、誰も実地を見たという者もなく、ほんの当推量あてずいりょうに過ぎないのですが、昔からの伝説いいつたえに依ると
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「エ学問……出来るというはなしも聞かんが……それとも出来るかしらん。この間から課長の所に来ているのだから、我輩もまだ深くは情実ようすを知らないのです」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
殊に我々仲間で申しあげるおはなしの年月、口唇くちびるがべろ/\と動き、上腮うわあごと下腮が打付ぶっつかりますうちに二十年は直ぐ、三十年は一口に飛ぶというような訳、考えてみますれば呑気至極でげすがな