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あた
ふりがな文庫
“
中
(
あた
)” の例文
画人的な構想や要意から作られた画でなく、禅的な心境からむしろ不要意に生れ出たといったほうが、
中
(
あた
)
っておりはしないだろうか。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ヒはヒノキで従来から通常檜の字が
充
(
あ
)
ててあるがこれは
中
(
あた
)
っていなく、檜はイブキビャクシン(略してイブキという)の漢名である。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
養父
(
ちちおや
)
の方が可愛がって片時も離さないとこういう
言種
(
いいぐさ
)
でね。……父も祖母も、あれに
中
(
あた
)
られると思うから、相当に待遇するでしょう。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こは深き憂に
中
(
あた
)
れるが爲めなるべけれど、その憂は貧か戀か、そも/\別に
尋常
(
よのつね
)
ならざる祕密あるか。これを知るもの絶て無しとぞ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
太い雨が
竿
(
さお
)
に
中
(
あた
)
る、水面は水煙を立てて雨が
跳
(
は
)
ねる、見あげると雨の足が山の絶頂から白い糸のように長く
条白
(
しま
)
を立てて落ちるのです。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
美妙斎について実は余り多くを知っていないから、私の憶測が
中
(
あた
)
るか中らないかは
請合
(
うけあ
)
わないが、試みにその原因を数えようなら
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
しかも総督府から指導のために出張した検事正や、警視連の
指
(
ゆびさ
)
す処が一々不思議なほど
図星
(
ずぼし
)
に
中
(
あた
)
る。各地の有力者が続々と検挙される。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
婆「酒をつけろたってお前さん
無理酒
(
むりざけ
)
を飲んではいけないよ、無理酒は身体に
中
(
あた
)
るから、忰が死んだからってもやけ酒はいけないよう」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「そんな事をいわずに、物は試しだから一口買ってごらんなさい、しかし
度々
(
たびたび
)
は
可
(
い
)
けません、
中
(
あた
)
ったら一遍こきりでおよしなさい」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
同じ人でも白痴と狂人は何を食べても
滅多
(
めった
)
に
中
(
あた
)
りません。それは神経を使わないから胃腸が無神経同様になって下等動物に近いのです。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
けれども、不思議な事には決して人には
中
(
あた
)
らぬもので、人もなく物も無く、ツマリ当り障りのない場所を択んで落ちるのが
習慣
(
ならわし
)
だという。
池袋の怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
某時
(
あるとき
)
、村で水莽の毒に
中
(
あた
)
って死んだ者があったが、死んで間もなく蘇生した。村の者はそれを不思議がった。すると祝が言った。
水莽草
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
一月
(
ひとつき
)
の後、百本の矢をもって速射を試みたところ、第一矢が
的
(
まと
)
に
中
(
あた
)
れば、続いて飛来った第二矢は誤たず第一矢の
括
(
やはず
)
に中って突き
刺
(
さ
)
さり
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
覚めて考うれば口をきかれなかったはもしや
流丸
(
それだま
)
にでも
中
(
あた
)
られて亡くなられたか、
茶絶
(
ちゃだち
)
塩絶
(
しおだち
)
きっとして祈るを御存知ない
筈
(
はず
)
も無かろうに
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
亨一の歸りを出迎へたとき、その推想が
中
(
あた
)
つて居ることを
了
(
さと
)
つた。そして亨一の心中を想ひやつて氣の毒に思ふ心のみが先に立つて居た。
計画
(旧字旧仮名)
/
平出修
(著)
茸
(
きのこ
)
の毒に
中
(
あた
)
りて一日のうちに死に
絶
(
た
)
え、七歳の女の子一人を残せしが、その女もまた年老いて子なく、近きころ
病
(
や
)
みて失せたり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
君の探偵は
偶
(
まぐ
)
れ
中
(
あた
)
りだ今度の事でも
偶々
(
たま/\
)
お紺の髪の毛が縮れて居たから旨く行た様な者の若しお紺の毛が真直だッたら無罪の人を
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
その次に「強い風だ。いよいよこれから死にに行く。
丸
(
たま
)
に
中
(
あた
)
って
仆
(
たお
)
れるまで旗を振って進むつもりだ。
御母
(
おっか
)
さんは、寒いだろう」
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
船長はポーチにいて、用心深く
騙
(
だま
)
し
撃
(
う
)
ちをやられても
中
(
あた
)
らぬところにいるようにしていた。彼は振り向いて私たちに言った。——
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
やつくれえばかに運の
強
(
つえ
)
えやつアねえぜ。
博
(
ぶつ
)
ちゃア勝つ、遊んで
褒美
(
ほうび
)
はもれえやがる、鉄砲玉ア
中
(
あた
)
りッこなし。運のいいたやつのこっだ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
夫
(
それ
)
任
(
にん
)
ずるに其人を
擇
(
えら
)
めば
黜陟
(
ちつちよく
)
明
(
あき
)
らかにして
刑罰
(
けいばつ
)
中
(
あた
)
らざるなく
實
(
まこと
)
に百姓をして
鼓腹
(
こふく
)
歡呼
(
くわんこ
)
せしむ
諺
(
ことわ
)
ざに曰其人を知らんと欲すれば其の
使
(
つか
)
ふ者を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
弾丸は三歩程前の地面に
中
(
あた
)
って、弾かれて、今度は一つの窓に中った。窓ががらがらと鳴って壊れたが、その音は女の耳には聞えなかった。
女の決闘
(新字新仮名)
/
ヘルベルト・オイレンベルク
(著)
押砂河岸に上る前に、
木下
(
きおろし
)
河岸で朝早く売りに来た弁当を買った。それの刻み
鯣
(
するめ
)
に
中
(
あた
)
って腹痛を感じたとのみは思えなかった。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
而
(
しか
)
して石田君が『晋書』から引かれた
衛玠
(
えいかい
)
の死に様は、『南方随筆』に載せた裏辻公風と同じくいわゆる見毒(ナザール)に
中
(
あた
)
ったらしい。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「だってあたし、それじゃ困るわ、今すぐいろいろ入用なものがあるんだから」とそう云ったのも、成る程思い
中
(
あた
)
るのでした。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
所が私は又その測量者があろうとなかろうと、その推測が
中
(
あた
)
ろうと中るまいと、少しも
頓着
(
とんじゃく
)
なしに相替らず悠々として居ます。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
その時、何処からともなく可なり大きな石が飛んできて、身を反らし加減にしている彼の、右の鎖骨の所へはっしと
中
(
あた
)
った。
電車停留場
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「つまらぬ事を申すな、——幾之助の腹痛は時候
中
(
あた
)
りでもあろう、深く詮議して、罪の無い膳部係の者を陥れてはならぬぞ」
礫心中
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そうして見ると、女房の持っていた拳銃の最後の一弾が気まぐれに相手の体に
中
(
あた
)
ろうと思って、とうとうその強情を張り通したものと見える。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
と、どこから来たものか、四方雨戸をとざしてあるのに、一匹の
火捕
(
ひと
)
り虫が飛んで来た。バタバタバタバタと雪洞へ
中
(
あた
)
る。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
玉に
中
(
あた
)
つて死んだものは、
黒羽織
(
くろばおり
)
の大筒方の外には、淡路町の北側に
雑人
(
ざふにん
)
が一人倒れてゐるだけである。大筒方は大筒の側に
仰向
(
あふむけ
)
に倒れてゐた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
されば、更るがわる鈎を挙げて、
餌
(
え
)
を更め、無心にして唯
中
(
あた
)
りを待ちけるに、一時間許り
経
(
へ
)
ける時、果して鈴に響く。
大利根の大物釣
(新字新仮名)
/
石井研堂
(著)
(3) 「ゲエテの偉いのはスケールが大きくて
猶且
(
なほかつ
)
純粋性を失はないところにある」と言ふ谷崎氏の言葉は
中
(
あた
)
つてゐる。これは僕にも異存はない。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
物事、道に
中
(
あた
)
って行われるようになれば、差別も平等も自ずと退いて淡々如々たる位置を守らしめるだけであります。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「年はいかないが見上げたもんだ。いまにきっと
状元
(
じょうげん
)
に
中
(
あた
)
るよ。おばさん、おめえ様の福分は乃公が保証しておく」
村芝居
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
しかしてあたかも
弦
(
つる
)
のしづかならざる先に
的
(
まと
)
に
中
(
あた
)
る矢のごとく、われらは
馳
(
は
)
せて第二の王國にいたれり 九一—九三
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
といって大いに
罵
(
ののし
)
ると、皆の者が怒って「お前のような者と一緒に帰ることは出来ない。
罰
(
ばち
)
が
中
(
あた
)
るから」というと
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
絶望の宣言と堺氏がいったのはその点において
中
(
あた
)
っている。兄は堺氏の考えに対する僕の考えをどう思うだろう。
片信
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「うーん、出来るよ。たとへば、一しよに鉄砲や弓をうつて、両方とも
中
(
あた
)
つたとしても、その中りどころが急所の方が勝ちときめりやいゝぢやあないか」
熊捕り競争
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
「毒死ではない、
食
(
しょく
)
に
中
(
あた
)
ったのだ」と甲斐は云った、「だがその話しはよそう、今宵はおまえたち二人の晩だ、陰気な話しはやめてたのしくやるがいい」
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
○さて時平が
毒奏
(
どくそう
)
はやく
中
(
あた
)
りて、同月廿五日
左降
(
さがう
)
の
宣旨
(
せんじ
)
下りて右□臣の
職
(
しよく
)
を
削
(
けづ
)
り、従二位はもとのごとく
太宰権帥
(
だざいごんのそつ
)
とし(文官)
筑紫
(
つくし
)
へ
左遷
(
させん
)
に定め玉へり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
馬場はまた弓射場にもなっているので、月に幾日か弓袋を持った人が出入して、的に
中
(
あた
)
る矢の音が聞えます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
ほんとうに課長の言うことは、
中
(
あた
)
っていたのである。怪人丸木は、たしかに千二を途中でさらっていった。
火星兵団
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼らの説が悉く正鵠に
中
(
あた
)
っているとはいい難く、彼らの間にも種々意見を
異
(
こと
)
にしている点が少なくなく
神代史の研究法
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
すなわち、その屋根の鉛が、幾万の小銃の銃身から発射されて、それに
中
(
あた
)
った人々の死体の眼から、永久に、空を見えぬように遮る
★
、という新しい方法である。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
却
(
かえ
)
って日本の銃砲が
能
(
よ
)
く
中
(
あた
)
る。向うの銃砲の弾丸は少しも
中
(
あた
)
らぬ。そこであの時は一度誤ったが、どうしてなかなかまだ今度の
独逸
(
ドイツ
)
の如き力とはよほど違っていた。
吾人の文明運動
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
髪を短く刈った時の感じに
喩
(
たと
)
えたら、
中
(
あた
)
らずといえども遠からずということになりはしないだろうか。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
矢に
中
(
あた
)
って負傷したもの二百四十五人に対して、溺死者千三十六人、裸になってやっと泳いで帰ったもの千二百五十七人という様な、大醜態を演じた程でありました。
本州における蝦夷の末路
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
遂
(
つひ
)
に
隊長
(
たいちやう
)
二
人
(
にん
)
を
斬
(
き
)
りて
以
(
もつ
)
て
徇
(
とな
)
へ、
其次
(
そのつぎ
)
を
用
(
もつ
)
て
隊長
(
たいちやう
)
と
爲
(
な
)
す。
是
(
ここ
)
に
於
(
おい
)
て
復
(
ま
)
た
之
(
これ
)
に
鼓
(
こ
)
す。
婦人
(
ふじん
)
、
(九)
左右前後跪起
(
さいうぜんごきき
)
、
皆
(
みな
)
、
(一〇)
規矩繩墨
(
きくじようぼく
)
に
中
(
あた
)
り、
敢
(
あへ
)
て
聲
(
こゑ
)
を
出
(
いだ
)
すもの
無
(
な
)
し。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
指はいつもの薪よりは
容易
(
たやす
)
く切れて、いつもの薪と同じやうに
翻筋斗
(
とんぼがへり
)
をして台の縁に
中
(
あた
)
つて土間に落ちた。指の痛をまだ感ぜないうちに、指の地に落ちた音が聞えた。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
“中”の意味
《名詞》
【なか】 物の内側。
【チュウ】 大きいとも小さいとも言えない状態。
【チュウ】 成績評価において、優れているとも劣っているとも言えない状態。平均的。
【チュウ】 大規模な文章や書籍などで、中の方の部分。
(出典:Wiktionary)
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
“中”を含む語句
家中
中央
夜中
女中
連中
日中
中心
懐中
中間
室中
山中
中風
市中
心中
最中
掌中
中止
途中
真中
中旬
...