“弦”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
つる78.3%
げん7.0%
ゆづる6.2%
いと3.1%
ゆみづる1.6%
ゆんづる1.6%
っる0.8%
づる0.8%
ゆみ0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そうして、間もなく、泉の水面に映っている白茅ちがやの一列が裂かれたとき、そこにはつるの切れた短弓を握った一人の若者が立っていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
げんも並ぶとしたら、この卓子テーブルじゃもう狭いね、来年はミツ坊も坐って、おととを喰るだろうし、なア坊や、こりゃ卓子テーブルのでかいのをあつらえなくちゃいけねえ」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
星は次第に増す。柔らかにゆらぐ海はあわそそがず。男は女の手をる。鳴りやまぬゆづるを握った心地ここちである。……
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この時葉之助は矢を取るとパッチリつがえてキリキリキリ、いと一杯に引き絞ると、狙いも付けず切って放した。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その自然木の彎曲わんきょくした一端に、鳴海絞なるみしぼりの兵児帯へこおびが、薩摩さつま強弓ごうきゅうに新しく張ったゆみづるのごとくぴんと薄を押し分けて、先は谷の中にかくれている。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
はじめ、彼等はに弓矢をって、頭上の大空へ矢を飛ばせた。彼等の弓の林の中からは、勇ましいゆんづるの鳴る音が風のように起ったり止んだりした。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この一朝いっちょうに死なんか、余りにも残念なのだ。つがえては切って放つ一弦いちげん一弦の弓鳴りはその憤りを発するに似ている。しかもそのっるもほつれ、弓も折れようとしていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一生涯が間身を放たで持ちたりける、五人ばりにせきづる懸けて湿しめし、三年竹の節近ふしぢかなるを、十五束二伏ふたつぶせこしらへて、やじり中子なかご筈本はずもとまで打ち通しにしたる矢、たゞ三筋を手挟たばさみて
貴女きじょは?」と正次は驚きながら訊ねた。訊ねながらも油断無く、ゆみ矢筈やはずをパッチリと嵌め、脇構えにおもむろつるを引いた。
弓道中祖伝 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)