ゆみづる)” の例文
その自然木の彎曲わんきょくした一端に、鳴海絞なるみしぼりの兵児帯へこおびが、薩摩さつま強弓ごうきゅうに新しく張ったゆみづるのごとくぴんと薄を押し分けて、先は谷の中にかくれている。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
たゞこの平凡な一句でも自分には百万の火箭を放つべき堅固なゆみづるだ。昔希臘ギリシヤといふ国があつた。基督キリスト磔刑はりつけにされた。人は生れた時何物をも持つて居ないが精神だけは持つて居る。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)