“あだ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アダ
語句割合
58.0%
婀娜15.6%
5.7%
4.5%
3.4%
2.9%
1.6%
1.3%
阿娜1.1%
1.1%
0.7%
0.5%
0.4%
讐敵0.4%
0.2%
0.2%
仇敵0.2%
仇讐0.2%
0.2%
吾田0.2%
婀婉0.2%
安田0.2%
0.2%
0.2%
徒事0.2%
恋仇0.2%
0.2%
艶妓0.2%
0.2%
0.2%
讎敵0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
御夢想ごむさうくすりぢやに……なん病疾やまひすみやかになほるで、ひないな……ちやうど、來合きあはせたは、あなたさまみちびきぢや……あだにはおもはれますな。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其の頃婀娜あだは深川、勇みは神田と端歌はうたの文句にも唄いまして、婀娜は深川と云うのは、其の頃深川は繁昌で芸妓げいぎが沢山居りました。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
さても出来でかしたり黄金丸、また鷲郎も天晴あっぱれなるぞ。その父のあだうちしといはば、事わたくしの意恨にして、深くむるに足らざれど。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
二条にじょうから半時はんときごとに花時をあだにするなと仕立てる汽車が、今着いたばかりの好男子好女子をことごとく嵐山の花に向って吐き送る。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
磯良これをうらみて、或ひは舅姑おやおや忿いかり五六せていさめ、或ひはあだなる心をうらみかこてども、五七大虚おほぞらにのみ聞きなして、後は五八月をわたりてかへり来らず。
またその天の尾羽張の神は、天の安の河の水をさかさまきあげて、道を塞き居れば、あだし神はえ行かじ。かれことに天の迦久かくの神を遣はして問ふべし
かしこにいくさを起す狼どものあだこひつじとしてわが眠りゐし處——より我をいだすその殘忍に勝つこともあらば —六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
おなとき賈雍將軍かようしやうぐん蒼梧さうごひと豫章よしやう太守たいしゆとしてくにさかひで、夷賊いぞくあだするをたうじてたゝかひたず。つひ蠻軍ばんぐんのためにころされかうべうばはる。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
齒ぎれの良い調子、莞爾につこりすると、漆黒しつこくの齒がチラリと覗いて、啖呵たんかのきれさうな唇が、滅法めつぽふ阿娜あだめいて見えます。
庭上にね下りようとした平馬をあだっぽく押し止めて、縁側に、スラリとした姿を現した一人の女性——
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
押領あふりやうせんとたくむ智慧ちゑの深き事はかるべからずと雖も英智の贋物にせものにして悉皆こと/″\邪智じやち奸智かんちと云ふべし大石内藏助は其身放蕩はうたうと見せて君のあだを討ちしは忠士の智嚢ちなうを振ひ功名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
恩を以てあだに報ゆると云ったような、美しい純な心の発露であるかも知れなかった。
神の如く弱し (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ハークマのブッシュかブッシュのハークマかとうたわれていたくらい、つまりこの怪談の場所は此処ここになるのだが、その倫敦ロンドンから帰ってきた時は、あだかもその妻は死にひんしていた時で
不吉の音と学士会院の鐘 (新字新仮名) / 岩村透(著)
お隣のおばさんにも下し賜わらず長火鉢の前の噛楊子かみようじちょっと聞けば悪くないらしけれど気がついて見れば見られぬ紅脂白粉べにおしろいの花の裏路今までさのみでもなく思いし冬吉の眉毛のむしくいがいよいよ別れの催促客となるとも色となるなとは今のいましめわが讐敵あだにもさせまじきは
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
立廻る駕籠舁かごかき惡漢共わるものども門邊かどべを通りかゝりしが兩人の樣子を見て此所へ這入はひり來りしかば八五郎はわるやつが來りしとは思へどもあだ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
する時は後日に如何なるあだ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
(おらもあだつでもいがべが)
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
それをおもふとわたしため仇敵あだといふひと一人ひとりくて、あの輕忽そゝくさとこましやくれて世間せけんわたしのあらを吹聽ふいちやうしてあるいたといふ小間こまづかひのはやも、口返答くちへんたふばかりしてやくたゝずであつた御飯ごはんたきのかつ
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
思想と恋愛とは仇讐あだなるか。いずくんぞ知らむ恋愛は思想を高潔ならしむる慈母なるを。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
江夏の黄祖は、むかしわがつまの孫堅を滅ぼした家の敵ですから、きっとあだを報じなければなりませぬ……
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
第十代の天皇崇神すじんの時代には、盗賊がおこり、反乱が生じた。武埴安彦たけはにやすひこと妻の吾田あだが反逆した。そこで四道将軍をおいた。そうして、教化にしたがわない人民を征服させた。
それから、ルビー色をした桜の実の婀婉あだやかな艶と色合に歓迎せられ、桜桃ゆすらうめが出てくる頃になると早や夏は来て居る。柘榴に会ふことは、初夏の楽みの一つであつた。
私が一番最初それを感じたのは、NHKの矢成君たちが国頭の安田あだ安波あはの会話を録音してきたのを聞いたときである。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
セント・ジョンは、この言葉をあだかも説教をするやうな調子で云つた——落着いた、力強い聲で、顏色を動かさず、眼に閃くやうな輝きを見せて。彼は續けた——
「ふん、一向さっぱりあだり前ぁだんぢゃ。」と云ひますか。云ひはしません。参ったのです。
葡萄水 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
彼らに知らせようとするかわらを積んではくずすような取り止めもない謀略はかりごとが幼い胸中に幾度か徒事あだめぐらされたのであったがとうとう何の手段てだてをも自分からすることなくある日崖下の子の一人が私を
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
けれども私の本心は、こいつにそんなにまで柳沢と見変えられたかと思えば、未練というよりもつらが憎くなって、どうしてこの恋仇あだをしてやろうかと胸は無念のほむらに燃えていた。するとお宮は
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
御熊野横町の名は昔から呼び習わしていたのであるが、近年は更に羅生門横町というあだ名が出来た。よし原に羅生門河岸らしょうもんがしの名はあるが、青山にも羅生門が出来たのである。
半七捕物帳:54 唐人飴 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
破れ障子の蔭から、そう、艶妓あだっぽい声をかけて、赤茶けた灯影が照す縁側に、すらりとした立姿を現した女があった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
彼等は皆過去の十一箇月をあだに送りて、一秒のちりの積める弐千余円の大金を何処いづくにか振落し、後悔のしりに立ちて今更に血眼ちまなこみひらき、草を分け、瓦をおこしても、その行方ゆくへを尋ねんと為るにあらざるなし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
げいもねえ、あだけたことはつしやるな。成程なるほどふねいたはわるいけんど、蹴込けこんだとは、なんたることだの。」
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
昨夜も昨夜とて小児の如くに人を愚弄して、あらわに負けてひそかかえり討に逢わした昇に、不倶戴天ふぐたいてん讎敵あだ、生ながらその肉をくらわなければこの熱腸が冷されぬと怨みに思ッている昇に
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)