あだ)” の例文
おおやけあだ、私のあだ、どうかしてとっちめてやりたいものだ。だが、どうにも証拠がない。是非とも証拠を握らなければならない。
銅銭会事変 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かしこにいくさを起す狼どものあだこひつじとしてわが眠りゐし處——より我をいだすその殘忍に勝つこともあらば —六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
かへさでは我あるべきか、今は一切世間の法、まつた一切世間の相、森羅万象人畜草木しんらばんしやうにんちくさうもく悉皆しつかいわがみあだなれば打壊うちくづさでは已むまじきぞ、心に染まぬ大千世界、見よ/\
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ここに留らずして余の今日まで基督教のために尽せし心実と熱心とを以て余を敵視する基督教会を攻撃せざる、何ぞ余のあだの神に祈るを得んや、何ぞ余の敵の聖書を尊敬し研究するを得んや
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
あだよりも恐ろしからむひ物のけふこの頃のこのともしさは
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
語るはあだの勝ならで
天地有情 (旧字旧仮名) / 土井晩翠(著)
すでに罵るあだ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
すべてあらぶるものゝあだなるルチーアいでゝわがいにしへのラケーレと坐しゐたる所に來り 一〇〇—一〇二
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
法味を永遠に楽ませ玉へ、と思入つて諫めたてまつれば、院の御霊は雲間に響く御声してから/\と異様ことやうに笑はせ玉ひ、おろかや解脱の法を説くとも、仏も今はあだなり、涅槃ねはん無漏むろうけがはじ
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
忌々ゆゝしき「死」の大君おほぎみは慈悲のあだなり