葡萄水ぶどうすい
耕平は髪も角刈りで、おとなのくせに、今日は朝から口笛などを吹いてゐます。 畑の方の手があいて、こゝ二三日は、西の野原へ、葡萄をとりに出られるやうになったからです。 そこで耕平は、うしろのまっ黒戸棚の中から、兵隊の上着を引っぱり出します。 一 …