麻布あさぬの)” の例文
黒い着物を着て、頭を厚い白い麻布あさぬのでつつんだ女たちの姿は、教会の中の古い絵からおりたってきたのではないかと思われました。
ローウッドの生徒はどうしてあんなに靜かで質素しつそなのでせう。髮を耳の後へき上げて、長い前掛をして、麻布あさぬののポケットのついた着物を
だれでも木綿の着物を着るようになったのは、江戸時代も中頃から後のことで、それ以前には、冬も麻布あさぬのの衣服を着るのがふつうであった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
小さい水彩画と、ピカソの絵葉書、その脇には圭子自身の製作らしい麻布あさぬの葡萄ぶどうの房のアプリケが、うすよごれた壁をすっかりかくしていた。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
独木舟を操り、水狸や獺をとらえる。麻布あさぬのの製法を知っていて、獣皮と共にこれを身にまとう。馬肉、羊肉、木苺きいちごひしの実などい、馬乳や馬乳酒をたしなむ。
狐憑 (新字新仮名) / 中島敦(著)
彼女はきらきら光る白い麻布あさぬのでおおわれていましたが、それが壁掛けの濃い紫色とまことにいい対照をなして
戸の内はくりやにて、右手めての低き窓に、真白ましろに洗いたる麻布あさぬのをかけたり。左手ゆんでには粗末に積み上げたる煉瓦れんがかまどあり。正面の一室の戸は半ば開きたるが、内には白布しらぬのをおおえる臥床ふしどあり。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「おい、どないにする」と、顔の※い男は団子の鉢を麻布あさぬのに包みながら云った。
岩魚の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
木綿もめんが日本にふきゅうするまでは、麻布あさぬのを着ぬ日本人は一人もなく、苧を績み布を織らぬ女も皆無かいむにちかかった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
木綿を用いぬとすれば麻布あさぬのより他に、肌につけるものは持ち合わせていなかったのである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
麻布あさぬのの糸の細さ太さは、以前はこれほど大きな問題ではなかったのである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)