高天たかま)” の例文
さもなければ尊は高天たかまはらの外に刑余の姿を現はすが早いか、あのやうに恬然てんぜん保食うけもちの神を斬り殺す勇気はなかつたであらう。
僻見 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
かれここに天照らす大御神かしこみて、天の石屋戸いはやどを開きてさしこもりましき。ここに高天たかまの原皆暗く、葦原あしはらの中つ國悉に闇し。これに因りて、常夜とこよ往く
「あれあ神主がいう高天たかまが原たい。高天が原に神づまりしますかむろぎ、かむろぎのみこと——オ……」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その頃、国原の水は、水渋そぶ臭く、土濁りして、日のみ子さまのお喰しのしろに叶いません。天の神高天たかま大御祖おおみおや教え給えと祈ろうにも、国中は国低し。山々もまんだ天遠し。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
てんの神様、高天たかま大御祖おほみおや教へ給へと祈るにも、国なかは国低し。山々も尚天に遠し。大和の国とり囲む青垣山では、この二上、山空行く雲のかよと昇り立つて、祈りました。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
天地あめつち初發はじめの時、高天たかまはらに成りませる神のみなは、あめ御中主みなかぬしの神。次に高御産巣日たかみむすびの神。次に神産巣日かむむすびの神。この三柱みはしらの神は、みな獨神ひとりがみに成りまして、みみを隱したまひき