うなじ)” の例文
お前の肩に切られた風が、不思議に綺麗な切断面を迸しらせて、多彩な色と匂ひとで僕のうなじを包んでしまふ、僕はときたま噎せながら、不思議にそれを綺麗だと思つた。
海の霧 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
これを例するに日本の女の物思ふ時片手の上にうなじささへ物かんとする時ひざまづきたるももの上に両手を置きややななめに首を傾けて物いふさまその消行きえゆくが如き面影おもかげのいかに風情ふぜい深きや。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
お通のうなじるるを見て
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)