おほ)” の例文
玄間は俗医にして処世の才おほき人物であつたらしい。初め町医より召し出された時、茶山はこれを蘭軒に報じて、その人におごる状を告げた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
おほければ則ち疏すべく、路を受くれば則ち戦ふ勿れ。地を択んで而して侵し、碍無ければ則ち進む。此皆棋家の幽微、知らざる可からざる也。
囲碁雑考 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
馬車を四馬路スマロに返して杏花楼きやうくわらう上海シヤンハイ一の支那料理の饗応を受けたが、五十ぴんからの珍味は余りにおほきに過ぎて太半たいはん以上のどを通らず、健啖家けんたんか某某ぼうぼう二君も避易へきえきの様子であつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
文を論じたらんには、その興のおほき、あはれ果して如何いかなるべき。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
情の日のあやおほき空の下へ。
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
無憂樹むいうじゆかげはなおほ
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)