颯爽さつさう)” の例文
敢て其為めに千古の真骨頭ナポレオン・ボナパルトの颯爽さつさうたる威風が、一毫たりとも損ぜられたものとは信じなんだのである。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
まばらなマロニエの樹立こだちの中央に例の寛衣くわんいを着けてけんを帯びひさしの広い帽を少し逸反そりかへらしてかぶつた風姿の颯爽さつさうとしたリユウバンスの銅像が立つて
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
ジガ蜂の颯爽さつさうたる風姿はいかにもさかんな活動的な季節の先駆けたるにふさはしく、沈んだ病室内の空気までがにはかに活気を帯びて来るやうに思はれるのだつた。
ジガ蜂 (新字旧仮名) / 島木健作(著)
だん菅忠雄すがたゞをなどといふところ、そして、そんなふうならべてみると、素晴すばらしい名人試合めいじんしあひばかりやつてゐるやうだが、ときあせにぎるやうな亂牌振らんパイぶりられゝば、颯爽さつさうたる一人拂ひとりばら
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
もしも彼が美しい颯爽さつさうとした若い紳士だつたとしたら、私は、相手が氣がすゝまないのに、こんなにものをたづねて、そして頼まれもしない手助けをしようと、強ひて立つてはゐなかつたらう。
亭亭ていてい大毛槍だいけやりを立てた如くに直立し又はなゝめに交錯して十丈以上の高さに達して居る椰子やし林を颯爽さつさうたる驟雨しううに車窓を打たれながら、五台の馬車が赤い土の水けむりを馬蹄の音高く蹴立てて縦断するのは
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)