風聞うわさ)” の例文
「御両所、近いうちに新しい勤番支配が来ることをお聞きなされたか、その風聞うわさがたぶん御両所の耳にも入ったことと存ずる」
そののち他の獣風聞うわさを聞けば、彼の黄金丸はそのゆうべいた人間ひと打擲ちょうちゃくされて、そがために前足えしといふに。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
く既に式場に着し候ひけむ、風聞うわさによれば、市内各処における労働者、たとへばぼてふり、車夫、日傭取ひようとりなどいふものの総人数をあげたる、意匠のパフナリーに候とよ。
凱旋祭 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それと、義母はは義妹いもうとたちに対する父の苦衷くちゅうもある。もっと、大きな理由には、目代の山木判官とは、当然、不和になり、ひいては何かと、うるさい風聞うわさが京都へ伝わるであろう。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
容易ならぬ事態に陥ったという風聞うわさがここまで聞えたものだから、それでお銀様が心もとながって、そうして拙者に、友造君を迎えながら様子を見て来てくれと言われたものだから
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)