面貌めんばう)” の例文
抑も斯かる覆面は何の爲にもちゐらるるかとへば、故らに面貌めんばうを奇にする爲か他人たにんに面貌を示さざる爲かしからざれば寒氣かんきを防ぐ爲なるべし。思ふに第三種の用こそ此場合このばあひに於けるまことの用ならめ。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
盡すべしいざ主從の契約けいやく盃盞さかづきつかはさんと云ばこの時かねて用意の三寶さんばう土器かはらけのせ藤井左京持出て天一坊の前に差置さしおけば土器取あげ一こん飮干のみほして伊賀亮へつかはす時に伊賀亮はかしらあげつく/\と天一坊の面貌めんばう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
自ら高き處に着座ちやくざなすやと不審に思ひつゝ立止れば此時越前守には先達て伊豆守殿役宅やくたくにては間も隔しゆゑもし見違もやせんと思ひしが今天一坊の面貌めんばう熟々よく/\るに聊か相違なければ彌々僞物に紛なしと見きはめしも未だ確なる證據なき故召捕めしとること叶はず如何にせんと思ひしが屹度して大音に天一坊下に居れ此賣主このばいす坊主ばうず餘人は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)