青鷺あおさぎ)” の例文
青鷺あおさぎの三蔵は、ようやくここで人数に追いついた。背後の目として見張っていた哨兵しょうへいは、三蔵を槍囲みにしたまま、池田勝入の床几しょうぎの前へつれて来た。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もとより、痩意地やせいじの言葉である。地上の、どんな女性を描いてみても、あのミケランジェロの聖母とは、似ても似つかぬ。青鷺あおさぎと、ひきがえるくらいの差がある。
俗天使 (新字新仮名) / 太宰治(著)
本土ならば、こうした矢先にかかる鳥は一羽もいなかっただろうが、この島に住んでいる里鳩さとばと唐鳩からばと赤髭あかひげ青鷺あおさぎなどは、俊寛の近づくのをすこしも恐れなかった。
俊寛 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
近くの壁画を見れば、やまいぬわに青鷺あおさぎなどの奇怪きかいな動物の頭をつけた神々の憂鬱ゆううつな行列である。顔もどうもないおおきなウチャトが一つ、細長い足と手とをやして、その行列に加わっている。
木乃伊 (新字新仮名) / 中島敦(著)
いつも紅茶のかすが溜っているピクニック用の湯沸器。ちつと離ればなれにころがっている本の類。紙切れ。そしてそんなものを押しわけて敷かれている蒲団。喬はそんななかで青鷺あおさぎのように昼は寝ていた。
ある心の風景 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
夕風や水青鷺あおさぎはぎを打つ
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
青鷺あおさぎの三蔵をやって、裏切りの約束をしめし合わせてあるが、なお、念のために——と、その三蔵を頭として、一組の隠密おんみつを、瀬ぶみに向けたものだった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わぎもこを、いとおし見れば青鷺あおさぎや、ことの葉なきをうらみざらまし。
懶惰の歌留多 (新字新仮名) / 太宰治(著)
夕風や水青鷺あおさぎはぎを打つ
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
かの女は、さき頃、この曠野こうやを、ひとりで幾日も幾夜も迷いあるいたことを思い出した。そして、その時は、青鷺あおさぎの三蔵がたのみだったが、いまは、うるさい、やっかい者と、眉をひそめた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
青鷺あおさぎの者の三蔵は、まだ駈けつけて来ぬか。——姿は見えぬか」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)