雛鶏ひよっこ)” の例文
旧字:雛鷄
牛のすぐ後ろへ続いて、妻が大きな手籠てかごをさげて牛のしりを葉のついたままのなまの木枝で鞭打しばきながらく、手籠の内から雛鶏ひよっこの頭か、さなくば家鴨あひるの頭がのぞいている。
糸くず (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
片輪者は雛鶏ひよっこの様に歯のない口を黒く大きく開いて、「イヤー」と、怪鳥かいちょうの悲鳴を上げ、逃げ出す力はないので、片っ方けの細い腕を、顔の前で左右に振り動かして、敵を防ぐ仕草しぐさをした。
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
雛鶏ひよっこはね、役目重大な駅長のような帽子。ひっきりなしに肩をそびやかしているこうづる(しまいに、そのしぐさはなんの意味もないことがわかる)。みすぼらしいモーニングを着た、寒がりのアフリカづる
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
きつねが出る時分だ、雛鶏ひよっこの出る幕じゃねえ。」とモンパルナスは言った。
「どうでがすね? 今年の雛鶏ひよっこ成績しいしきは?……」
黒い地帯 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「かわいそうに。きれいなじいさんなのに。雛鶏ひよっこのようにまっ白だが。」