ひら)” の例文
牢獄も詩人は之を辞せず、碧空も詩人は之を遠しとせず、天地は一の美術なり、詩人なくんば誰れか能く斯の妙機をひらきて、之を人間に語らんか。
万物の声と詩人 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
某大家が即ち其であった。だから、人生を論じ、自然を説いて、微をひらき、幽をひらく頭はあっても、目前で青二才の私が軽蔑しているのが、先生にはついに見えなかったのだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
東沢の渓谷の秘密をひらく路は鶏冠谷の右岸に始まる。
得ル此ニ写シ更ニ他人ノ労ヲ仮ラズ且加ルニ舞文ヲ以テセバあたかモ晶盤ニ水ヲ加フルガ如ク彰々瞭々其微ヲひらキ其蘊ヲ発スルハ是レ易シトスル所ナリ之ヲ自ラ製スル能ハザルモノニ比スレバ難易ノ懸絶スルヤ一目其大ナルコトヲ知ルナリ
さらに秘密をひらくかな
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
江戸に芭蕉起りて幽玄なる禅道の妙機をひらきて、主として平民を済度さいどしつゝありし間に、難波には近松巣林子出でゝ艶麗なる情筆をふるひて、一世の趣味を風靡ふうびしたり、次いで西鶴、其磧きせきの一流立ちて
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
さら祕密ひみつひらくかな
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
得テ年来ノ宿望漸ク将ニ成ラントスルヲよろこビ奮ツテ自ラ其説文ヲ起コシ其図面ヲ描キ拮据きっきょ以テ日ニ其業ニ従ヘリ而シテ其書タル精ヲ極メひらキ以テ本邦今日日新学術ノ精華ヲ万国ニ発揚スルニ足ルベキモノト為サント欲スルニ在ルヲ以テ之ヲス必ズヤ此ニ幾十載ノ星霜ヲ費ス可ク其間日夜孳々しし事ニ之レ従ヒ其精神ヲ抖擻とそうシ其体力ヲ