間道ぬけみち)” の例文
なんでもこの辺の間道ぬけみちを通って、甲州入りをしたものに違いございませんが、あいつが盲目めくらと足弱をつれて、どういう道行みちゆきをするかが見物みものでございます。
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
おりゅうの名前の下には爪印をし、これを懐に入れて橋本幸三郎より五十両の金を取り、松五郎を越後の浅貝あさがい間道ぬけみちを逃がそうと云うたくみでございます。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おそら何処どこにか隠れ家があろうと、四辺あたりくまなくてらると、穴の奥には更に小さい間道ぬけみちが有った。彼等は此処ここから這い込んだに相違あるまい。巡査等は続いてその穴をくぐった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そこは草や雑木ぞうきの生えた小藪こやぶになっていて、すぐ右手に箱根八里の街道へける間道ぬけみちがあって、それがだらだらとおりて土橋どばしを渡り、前岸ぜんがん山裾やますそを上流に向ってうねうねと通じていた。
山寺の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
信州佐久さくの方へ出るところに、まだこのほかに一筋の路がございますよ。相州口にも、まだちょっとした間道ぬけみちがございますがな、それは処の案内者でないとわかりませんでございますよ。
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
左右はけわしい岩山である。𤢖は間道ぬけみちから山深く逃げったのであろう。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「駄目だ、駄目だ。間道ぬけみちから逃げてしまった。」と、下でも叫んだ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
間道ぬけみちから、おばさん、万沢へ出ようよ、その方が順だから」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)