閃電せんでん)” の例文
今回の突然なシビリアコフ号の太平洋出現は真に閃電せんでんのごとく日本の学界の上に強い印象の光を投げたであろうと思われる。
北氷洋の氷の割れる音 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
真暗まっくらな雲が出た、——と叫びよばわる程こそあれ、閃電せんでん来り、瞬く間もまず。衆は立つ足もなくあわて惑う、牛あれて一りにけ散らして飛びく。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼女の口にするところはおもに彼ら夫婦間に横たわる気不味きまずさの閃電せんでんに過ぎなかった。そうして気不味さの近因についてはついに一言ひとことも口にしなかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
夜中やちゅうの事とて不意に閃電せんでんのごとくマグネシヤを爆発させて撮影するので、その音に驚き、キャッと叫ぶ女もあれば、閃光にまなこを射られて暫時しばしは四方真暗
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
白雲、黒雲、積雪、潰雪くわいせつ閃電せんでん、猛雷、是等のものを用役し、是等のものを使僕し、是等のものを制御して而して恒久不変に威霊を保つもの、富嶽ふがくよ、夫れ汝か。
富嶽の詩神を思ふ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
右頭上八相に構えていた一人が、閃電せんでんの如く——ぱあっ、と鈍い音と共に、つつと上った血煙——
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
時に閃電せんでんす。光のうちを、と流れて、胡蝶こちょう彼処かしこに流るる処、ほとんど天井を貫きたる高き天守の棟に通ずる階子はしご。——侍女等、飛ぶ蝶の行方につれて、ともに其方そなたに目を注ぐ。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)