つりがね)” の例文
その種名スペシフィック・ネームのカムパヌラータは「鐘形ノ」という意味でそれはその桜の花弁が正開せず常に半開きでそれがちょうつりがねの形をしているからである。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
鎧潟よろひがたに近き横戸よこと村の長徳寺、谷根たにね村の行光寺も怪力くわいりよくのきこえたかし。此人々はいづれもひとりしてつりがねかろかけはづしするほどの力は有し人々なり。
怒鳴りながら、拳で叩くと、扉はガーン、ガーンとつりがねの様な音を立てる。厚い鉄板で出来ているのだ。
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
鯉七 忘れたか、つりがねがここにある。……御先祖以来、人間との堅い約束、夜昼三度、打つ鐘を、彼奴等あいつらが忘れぬうちは、村は滅びぬ天地の誓盟ちかい姫様ひいさまにも随意ままにならぬ。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鎧潟よろひがたに近き横戸よこと村の長徳寺、谷根たにね村の行光寺も怪力くわいりよくのきこえたかし。此人々はいづれもひとりしてつりがねかろかけはづしするほどの力は有し人々なり。
姥 (居直り)また……我儘わがままを仰せられます。お前様、ここにつりがねがござります。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
君が迷信さるる処のそのつりがねはです。一度でも鳴らさない時はすなわちその、村が湖になると云うです。湖になる……結構ですな。望む処である、です、から、して、からに、そのすなわちです。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)