釘抜くぎぬき)” の例文
旧字:釘拔
その他、大代おおしろの「菊一」というのが千四百枚、北浜の「笹」というのが千枚、吉永の「釘抜くぎぬき」が九百枚、木津新町の「菊巴」が九百枚の大きさである。
凧の話 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
舌を釘抜くぎぬきで引き抜き、体を生きながら焼くように、宣告したりするような慈悲深い仕事をして楽しんでいた。
無言の二人は釘抜くぎぬきで釘を挟んだように腕を攫んだまま、もがく男を道傍みちばたの立木の蔭へ、引きって往った。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
……その朝、康子は事務室から釘抜くぎぬきを持って土蔵の方へやって来た順一の姿を注意してみると、その顔は穏かにいでいたので、頼むならこの時とおもって、早速、鏡台のことを持ちかけた。
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)
何故なぜならお坊さんのお話といふのは、この世でうそをいふと、あの世で閻魔えんまさんに、舌べろを釘抜くぎぬきでひつこぬかれるとか、この世で猫や犬や、鳥なんかを殺すと、あの世で血の池地獄におとされて
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
れからその医師が光りかがやとうとってグット制すと、大造たいそうな血がほとばしって医者の合羽は真赤になる、夫れから刀の切口きりぐち釘抜くぎぬきのようなものを入れて膀胱ぼうこうの中にある石を取出すとかう様子であったが
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
釘抜くぎぬきのような手が、ピタリと、箒を持つ手頸に掛りました。