“釘隠”のいろいろな読み方と例文
旧字:釘隱
読み方割合
くぎかく60.0%
くぎかくし40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
半之助は、これらを見まわしているうちに、柱や長押なげしの、釘隠くぎかくしに、ふと注意をひかれた。鉄か青銅のような金具で、菱を三つ合わせたような、かたちをしていた。
山彦乙女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
秋草を描いたふすまが廻り舞台のように動き出す、襖の引手が口をあく、柱の釘隠くぎかくしが眼をむく。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それでも建ちは割合に高くて、簡単な欄間もあり銅の釘隠くぎかくしなども打ってある。その釘隠が馬鹿に大きいがんであった。勿論もちろん一寸見たのでは木か金かも知れないほど古びている。
野菊の墓 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
長押作なげしづくりに重い釘隠くぎかくしを打って、動かぬ春のとこには、常信つねのぶ雲竜うんりゅうの図を奥深く掛けてある。薄黒く墨を流した絹の色を、かくに取り巻く紋緞子もんどんすあいに、びたる時代は、象牙ぞうげの軸さえも落ちついている。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)