釘隠くぎかく)” の例文
旧字:釘隱
半之助は、これらを見まわしているうちに、柱や長押なげしの、釘隠くぎかくしに、ふと注意をひかれた。鉄か青銅のような金具で、菱を三つ合わせたような、かたちをしていた。
山彦乙女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
秋草を描いたふすまが廻り舞台のように動き出す、襖の引手が口をあく、柱の釘隠くぎかくしが眼をむく。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
象嵌ぞうがん釘隠くぎかくし一個が、何両につくとか、中門の如輪木目じょりんもくの一枚板は何十両だとか、小判で張り詰めたような馬鹿げた豪奢ごうしゃが、すべて皮肉な歯を剥いて人間を嘲笑あざわらっているように見える。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「これは築地の、いつかいった丸茂の家の、釘隠くぎかくしに付いていた金具と同じだ」
山彦乙女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)