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逈
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はるか
ふりがな文庫
“
逈
(
はるか
)” の例文
その巻蔓のうちの一つは松の隣りのその松よりも一際高い桜の木へ這ひ渡つて、仲間のどれよりも
逈
(
はるか
)
に高く、空に向つて延びて居た。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
彼も境遇次第にては、たとひシエクスピイヤには及ばずとするも、我國の淨瑠璃作者にて終らむよりは
逈
(
はるか
)
に優りたる位地に上りぬらむ。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ハツバス・ダアダアは當時一流の
埴瓮
(
はにべ
)
つくりはじめて、これを氣象情致の
逈
(
はるか
)
に優れたる詩人に
擲
(
な
)
げ付け、自ら恥づることを知らざりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「お前がまた親不孝だから、親が寄せつけないんだ。そう威張ってばかりいても
得
(
とく
)
は取れない。ちっとはお辞儀をして、金を引出す算段でもした方が、
逈
(
はるか
)
に
悧巧
(
りこう
)
なんだ」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
腹が
減
(
す
)
いた、銭が欲しいという現実界に比べれば、
逈
(
はるか
)
に美しいように見える。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
猶々
(
なほなほ
)
此のやうの
苦
(
くるし
)
き思を
致候
(
いたしさふらふ
)
て、惜むに足らぬ命の早く
形付
(
かたづ
)
き
不申
(
まをさざ
)
るやうにも候はば、いつそ自害致候てなりと、潔く相果て候が、
逈
(
はるか
)
に
愈
(
まし
)
と
存付
(
ぞんじつ
)
き
候
(
さふら
)
へば、万一の場合には、
然
(
さ
)
やうの事にも
可致
(
いたすべく
)
と
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
南来
瘴嶺
(
しょうれい
)
千層
逈
(
はるか
)
に
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
さらずば美しき畫といふ畫を、殘なく知り、はてなき世の事を悟り、我が物語りしよりも、
逈
(
はるか
)
に面白き物語のあらん限を
記
(
おぼ
)
えんとや思ふ。我。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
此孫が順養子となつたさうである。按ずるに梧陰は蘭門の玄道で榛門の安策の父ではなからうか。梧陰の
齢
(
よはひ
)
は
逈
(
はるか
)
に榛軒より長じてゐたらしい。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
この老人の話によると、養家の財産は、お島などの不断考えているよりは、
逈
(
はるか
)
に大きいものであった。動産不動産を合せて、十万より
凹
(
へこ
)
むことはなかろうと云うのであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
されど此情は嘗てアヌンチヤタの爲に發せしと
逈
(
はるか
)
に殊にて、又ララに對して生ぜしとも同じからず。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
己はあの床の間の前にすわって、愉快に酒を飲んでいる。真率な、無邪気な、そして公々然とその愛するところのものを愛し、知行一致の境界に住している人には、
逈
(
はるか
)
に劣っている。
余興
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
逈
部首:⾡
10画