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逃亡者
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かけおちもの
透し見るに
生憎曇りて
黒白も分ず
怖々ながら
蹲踞居れば
件の者は河原へ
上り
背より一人の女を下しコレ聞よ
逃亡者と昨日から
付纒ひつゝやう/\と此所へ
引摺り
込までは大に
骨を
遣ひ手にも入ず白妙を今失ひては
口惜しと
追駈來り
逃亡者を渡せばよし萬一渡さずば汝れ迄刀の
錆にして遣ると氷の如き一刀
引拔終に重五郎を
切殺し心
急たる其餘り
煙草入を落せしを
如何なる
譯なるやと
問に八五郎
然ば
御咄し申べし先刻越後者の
由若き夫婦連の
侍士私し見世に御休み
成れしが
逃亡者とも見えず
身形も可なり立派なれども一向に
旅馴ぬ樣子にてイヤモウ
意氣地もなく殊に女は足を