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辷
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す
ふりがな文庫
“
辷
(
す
)” の例文
老医師の口から、ちょうど滑らかな物の上を水の玉が徐々に
辷
(
す
)
べり落ちでもするかのようにいかにも
流暢
(
りゅうちょう
)
に流れ出るのであった。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
ちょいと、あなた、眠ってんのッ? てな事を云ッて、いきなりベッドの中に、
辷
(
す
)
べり込んで、死人を抱きしめて、夢中で接吻したんでさア。
耳香水
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
先ず湯を沸立たせ、玉子を割れざるため
辷
(
す
)
べらせるように入れて三十秒ほど置き直ぐ火より
卸
(
おろ
)
して火気のある温き処に五分間置くなり。多くの玉子を湯に入れんとする時は
笊
(
ざる
)
のままがよし。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
根曲り竹は
益
(
ますま
)
す茂って、人の丈より高くなる、人混みの中を、押し分けるように気兼ねをしながら行くと、笹の茂りからは、白い灰がフーッと舞い立って、木の葉の露で手の
辷
(
す
)
べる杖までが
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
小心な動物は、敵が近づくとでも思ったのだろう、私達の話声を聞くと同時に、黒曜石みたいな眼をして、ちらっとふりかえったと思うと、
辷
(
す
)
べるように、もう岩の蔭にもぐり込んでしまった。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
▼ もっと見る
兵士たちは王の言葉を口々にいい伝えて
動揺
(
どよ
)
めき立った。再び小山の頂では地を
辷
(
す
)
べる鹿の死骸の音がした。その時、突然、卑弥呼の頭に浮んだものは、彼女自身の類い稀なる美しき姿であった。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
母親の居
睡
(
ねむ
)
りの
膝
(
ひざ
)
から
辷
(
す
)
り下りて
詩
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
首筋に喰い入るようにめり込んでいる細い鎖を
探
(
さ
)
ぐって環を外した、と、思ったら、するするとネックレースをポケットの中に
辷
(
す
)
べり込ませてしまった。
梟の眼
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
静
(
しずか
)
に歩くさえ、砂でも噛み当てたように、ガリガリ音がする、あまり
峻
(
けわ
)
しいから、迂回しようとして、足を踏み
辷
(
す
)
べらすと、石の
谿
(
たに
)
が若葉を
敲
(
たた
)
く谷風でも起ったように、バサバサと鳴り出して
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
有松の邸はひっそりとしていたが、それでも人待ち顔に扉は左右に開かれていたので、円タクは音を立てて門内に
辷
(
す
)
べり込んだ。が、誰一人出迎えなかった。洋子は玄関のベルを押した。
深夜の客
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
泥濘に靴が吸いついたり、
辷
(
す
)
べったりしながら、
漸
(
や
)
ッとの思いでアパートの階段に辿り着き、自分の部屋まで運んで、取り敢えず壁際のベッドの上に
横
(
よこた
)
え、始めて電気の下で少女の顔を見た。
黒猫十三
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
辷
漢検1級
部首:⾡
5画
“辷”を含む語句
上辷
地辷
踏辷
一辷
寐辷
辷石
鞘辷
辷込
辷落
辷台
辷出
血辷
繩辷
氷辷
敷辷
大辷
口辷