辰蔵たつぞう)” の例文
辰蔵たつぞうの成人ぶりもお目にかけたい。二歳になる又二郎にもばば様と初の対面をげさせたい。妻の梨影りえも久しくお待ち申しあげている。
梅颸の杖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
月六斎つきろくさいと日を期して、勝三郎が喜代蔵きよぞう辰蔵たつぞう二人の弟子でしを伴って、お玉が池の渋江のやしきに出向くと、その日にはくがも里親のもとから帰って待ち受けていた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
三千両の小判は三つの千両箱に詰められ、主人治兵衛の手で封印を施し、番頭の源助げんすけ鳶頭かしら辰蔵たつぞうが宰領で、手代りの人足ども総勢六人、柳橋に掛ったのはちょうど昼時分でした。
政吉まさきち辰蔵たつぞうかめ八、分太ぶんた梅吉うめきち幸兵衛こうべえ。——」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
石屋職人の辰蔵たつぞうは、江戸者の気質かたぎをまる出しに持っている。二人の床几しょうぎの前に、自分も煙草休みの腰をすえて
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「畳屋の辰蔵たつぞうと申します。あっしの手拭がどこかにありましたか」