輕捷けいせふ)” の例文
新字:軽捷
腕も拔群ですが、何よりの特色はその輕捷けいせふな身體で、もう一つの特色は、さまたげる者は殺さずんばまない、鬼畜の如き殘虐ざんぎやく性でした。
字法句法の輕捷けいせふなる、體制音調の流麗なる、詩にあらねども詩とおもはれ、人々の喝采を受けたり。平生ペトラルカをあがむも、その「ソネツトオ」の音調のみ會し得たるにやあらん。
それは十八九にもなるでせうか、身のこなしの輕捷けいせふな、歎きのうちにも愛嬌と明るさを失はない、世にも可愛らしい處女をとめでした。
輕捷けいせふで素早くて、手に了へない上に、何處に隱し持つて居たか、細いきりのやうな匕首あひくちが、相手の急所を狙つて縱横に飛ぶのです。
小作りで、年の頃二十五六、少し三白眼しろめですが、色の淺黒い、なか/\の男前。なんとなく輕捷けいせふで拔け目のなささうな人間です。
曲者は併し輕捷けいせふで恐ろしい體力の持主でした。平次が得意の投錢でも飛ばさなかつたら、この爭ひはどうなつたかわかりません。
平次は何やら掴んでグイと引くと、一の黒いものが手に殘つて、曲者はパツと飛びました。恐ろしい輕捷けいせふな身のこなし。
上品でこの上もなくおとなしやかなのが、サツと惡魔的な表情に變ると見るや、輕捷けいせふ無比な身體を利用してバラバラと驅けて行くのを、どつこい
久松型の美少年金之助が、かうしたたしなみや、輕捷けいせふな身のこなしは、妙に可愛らしさと、好感を持たせます。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
輕捷けいせふで圖太くて、風の如く去來する怪盜鼬小僧の跳梁てうりやうは、この春の町方一統、手を燒いて居たのです。
包の中から匕首あひくちを取出したお六、平次の止める隙もなく、廊下へパツと飛出しました。その突き詰めた樣子や、輕捷けいせふな物腰など、思ひ付きの芝居とも思はれません。
もう一つの特長は覆面の下から見える左首筋に、小判形の眞赤な痣のあることと、それから、恐しく手のくことと、身體が人間離れがしてゐるほど輕捷けいせふなことです。
銭形平次捕物控:124 唖娘 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
もとは武家だつたさうで、武藝のたしなみも相當らしく、身のこなしが輕捷けいせふで折目高な物の言ひ樣をしますが、肌合は間違ひもなく町人で、二十五六の良い男でもあります。
が、輕業娘の輕捷けいせふさには及ぶべくもなく、汗みどろになつて兩國へ辿たどり着くと
麻裃あさがみしもを着た口上言ひが一人、月代さかやきと鼻の下に青々と繪の具を塗つて、尻下がりの丸い眉を描いて居りますが、顏立は立派な方で、身のこなし、物言ひ、妙に職業的な輕捷けいせふなところがあります。
歌がたくみで、踊りの地もあり、身輕な藝は不得手ですが、水藝や小手先の手品、さう言つたもので客を呼び、妹のお玉の方は十六七、これは輕捷けいせふな身體が身上しんしやうで、綱渡りから竹乘り、撞木しゆもく飛び