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しんじよう
その
算へざりし奇遇と
夢ざりし
差別とは、
咄々、相携へて二人の
身上に
逼れるなり。
女気の
脆き涙ははや宮の目に
湿ひぬ。
何うも
是れも
授り
物だからと
一人が
言ふに、
仕方が
無い、十
分先の
大旦那がしぼり
取つた
身上だから、
人の
物に
成ると
言つても
理屈は
有るまい、だけれどお
前、
不正直は
此處の
旦那で
有らうと
言ふに
無理に仕上げた
身上は一代持たずに滅びます。因果の報う
例は恐るべきものだから、一日でも早くこんな家業は
廃めるに越した事はありません。
噫、末が見えてゐるのに、情無い事ですなあ!