身上しんじよう)” の例文
そのかぞへざりし奇遇とゆめみざりし差別しやべつとは、咄々とつとつ、相携へて二人の身上しんじようせまれるなり。女気をんなぎもろき涙ははや宮の目に湿うるほひぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
うもれもさづかものだからと一人ひとりふに、仕方しかたい、十ぶんせん大旦那おほだんながしぼりつた身上しんじようだから、ひとものるとつても理屈りくつるまい、だけれどおまい不正直ふしようぢき此處こゝ旦那だんならうとふに
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
無理に仕上げた身上しんじようは一代持たずに滅びます。因果の報うためしは恐るべきものだから、一日でも早くこんな家業はめるに越した事はありません。ああ、末が見えてゐるのに、情無い事ですなあ!
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)