身丈みのたけ)” の例文
せているので、ほんとうの身丈みのたけよりずっと長身に見える。おもざしは冷たすぎるほど端正たんせいで、象牙のようなえかえった色をしていた。
キャラコさん:03 蘆と木笛 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
近くへ呼び寄せて、「立って御覧」と言うと、素直にすぐ立って見せたが、身丈みのたけは四尺位で、いかにも姿のよい子で、顔なども本当に可哀らしかった。
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「顔は見えぬが、肩とか、身丈みのたけとか、どこかに記憶があるだろう。毎日こうして張込んでいても、一目でピンと勘に来ないようでは、まだ貴公たちもお若いぞ」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
身丈みのたけは低いが、小児こどもかと見れば大人のようでもあり、猿かと思えば人のようでもある。この寒空に全身殆ど裸で、わずかに腰のあたりに獣の皮をまとうているのみであった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その隣室には筋肉隆々たる身丈みのたけ殆ど八尺もある、完全無欠の一人の男子が、フロックコートを身に着けて、静に腰かけて居りましたが、私達を見ると立上がりました。
人間製造 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と云ったが又右衛門の身丈みのたけ六尺二寸と云うのだからぞろりと着れば踵まであったかも知れない。
鍵屋の辻 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
顔は浜口首相より広く大きな面積をもち、身丈みのたけも偉大だった。
私の見たものは何んであったろう? 巨大漢ジャイアント! 巨大漢! 否怪物モンスターだ! 漆黒の毛に蔽われた身丈みのたけほとんど八尺もある類人猿ピテカントロプスがただ一匹樹枝を雷光のように伝いながら血走る両眼に獲物を
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼の身丈みのたけは、人なみすぐれていた。肉はうすく、漢人特有な白皙はくせき長身であった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
身丈みのたけのすぐれた三十四、五の男である。かなつぼまなこ青髯あおひげのあとが濃い。関東風というのか、江戸へ近づくに従って、ひどく眼につくのが、着物やすその短いことと、刀の大きいことだった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
身丈みのたけ七尺をこえ、おもてかにのごとく赤黒かった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)