躍込おどりこ)” の例文
すると車が横浜を通り過ぎ、程ヶ谷ほどがや、戸塚とさしかかって来た時である。運転手台に乗っていた、助手の一人が、突然文子の席の方へ躍込おどりこんで来た。
骸骨島の大冒険 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
伯父さんは堅いかただから、すぐ大刀だいとうふるって躍込おどりこみ、打斬うちきろうかとは思いましたが、もう六十の坂を越した御老体、前後の御分別がありますから、じっと忍耐がまんをして夜明を待ちました。
靴足袋を長くあらわした服筒ずぼん膝頭ひざがしらにたくし上げた、という妙な扮装なりで、そのおんなたち、鈍太郎殿の手車から転がり出したように、ぬっと発奮はずんで出て、どしんと、音を立てて躍込おどりこんだのが
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
障子を蹴放けはなして驀地まつしぐら躍込おどりこめば、人畜にんちく相戯あひたはむれてかたの如き不体裁。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)