よろめ)” の例文
と声をかけ、無遠慮ぶえんりょに腰障子を足でガラリッと押開け、どっこいとよろめいて入りましたのは長二でございます。
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一人前の男でも、そうたやすくは振れない物なので、梅軒に身を交わされると、当然、お通の手は波を描いて、自分の振った刀で自分の体をよろめかせてしまった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と云われて、胸をときめかしたウルリーケが、ドアを開いたとき、咄嗟の驚愕に彼女はふらふらとよろめいた。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
取より早くオヽ合點がつてんと受止つゝ強氣がうき無慚むざんに打合に年は寄ても我慢がまんの九郎兵衞茲に專途せんどと戰へども血氣けつきさかんの曲者に薙立なぎたてられて堪得たまりえず流石の九郎兵衞蹣々よろ/\よろめく處を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ほんのばたきをする瞬間だった。藍弁慶あいべんけいの町人と編笠のふたりが、辻の中ほどで何かによろめいた。——と思うまに、ぱッと、二人は左右に駈け別れているのだった。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武蔵は、仮借かしゃくしなかった。三之助は、何度も、よろめいた。肩を打たれ、顔を打たれ、手を打たれた。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
又八は、踏みよろめいた足を、草履の緒へかけ直すと、尻込みする城太郎へ、物々しい肩をげて
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「何か、こう、地面が高く見えるようで、足を踏み出すのに、よろめきまする」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老先生は、脳心を、打ちのめされたようによろめいて
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)